「食品機能性評価」グループ
ますます高齢化の進む現代社会において、心身ともに健康で豊かな生活の維持が強く求められています。本グループでは、神奈川県内の企業や研究機関等と連携を図りながら、ニュートリゲノミクス(栄養遺伝子科学)を用いた科学的根拠に基づき、未病の状態からより健康的な状態へ近づけていくための食品等の機能性評価を行っています。生活習慣病予防のほか、運動機能・免疫機能・ストレスや疲労などの脳機能への影響を、作用メカニズム解明とともに評価しています。
グループリーダー

阿部 啓子
東京大学 大学院 特任教授
研究体制
期 間
(地域マクロニーズ即応プロジェクト)「食の安全・安心」プロジェクト
2008年4月~2011年3月
「健康・アンチエイジング」プロジェクト2011年4月~2015年3月
「未病改善食品評価法開発」プロジェクト2015年4月~2017年3月
(実用化実証事業)
「食品機能性評価」グループ
2017年4月~2019年3月
(評価センター事業)
「食品機能性評価」グループ
2019年4月~
構成
- グループリーダー
- サブリーダー
- 常勤研究員
- 非常勤研究員
- 事務補助員
実施場所
川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)4階
神奈川県川崎市川崎区殿町3-25-13
研究概要
研究課題評価
(地域マクロニーズ即応プロジェクト)
(実用化実証事業)※食の機能性評価受託を
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TOPICS
2021,5.13【論文発表】
岡田晋治研究員らの研究成果が、「BMC Genomics」に掲載されました。
De novo transcriptome analysis and comparative expression profiling of genes associated with the taste-modifying protein neoculin in Cursuligo Latifolia and Curculigo capitulate fruits.
Published online 2021 May 13. doi: 10.1186/s12864-021-07674-3
2021.3.18【講演・学会発表】

日本農芸化学会2021年度大会で篠原文夏研究員らが研究成果の発表を行いました。
題目:「自然薯ムカゴ摂取の代謝に対する影響」
研究概要
機能性食品の開発には、効果・効能の評価解析による幅広い科学的エビデンスを実証することが求められています。その課題に応えるため、本プロジェクトでは、ニュートリゲノミクスを含めたオミクス技術により、製品の生体機能を検証し、その結果を製品設計、およびヒトでの試験に向けた基盤研究へ適用することを目標としています。本プロジェクトは神奈川県内に多い食品企業の機能性食品の開発に資することを強く意識し、県内食品企業・産業の活性化を目指します。
食は健康な生体を築き上げ、それを維持する上で限りなく重要であり、適正な食生活は “quality of life”(QOL)の向上に寄与し、生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばす手段としても高い関心が寄せられています。わが国ではまもなく65歳以上の高齢者が人口の30%に達すると予想されており、健康を保ち、エイジング(加齢)に伴う生活習慣病の発症を遅らせる機能性食品の開発は国際的にも注目されています。
機能性食品の効果・効能の解析は、これまで、一面的現象に偏りがちでした。しかし、近ごろ急速に利用が進みつつあるDNAマイクロアレイというチップを用い、遺伝子レベルで予知する科学技術“ニュートリゲノミクス”は、食品のトータルな作用・機能を網羅的に解析することを可能にしました。本プロジェクトのもう一つの目標は、科学的エビデンスに基づく機能性食品を開発するための公的な第三者評価機関を世界に先駆けて構築することです。
健康寿命を延ばし、加齢を抑えて豊かな生活を営むことは社会の願望であり、本プロジェクトは、この日本発の領域を、学術的・産業的・社会的に発展させ世界に発信していくことを目指しています。
研究内容
私たちは食品や栄養素の機能性をニュートリゲノミクスに基づいて評価しています。食品機能は十分な科学的エビデンスによって裏付けされなくてはならないと考えます。これまでに、サプリメントとしてのアミノ酸混合溶液、メープルシロップ、神奈川県産桑葉、杜仲、柑橘などについて、機能性評価を実施しています。また、栄養素などの必須の成分は、その摂取量の過不足が生体に及ぼす影響は大きいです。私たちは栄養素の一つである鉄に着目し、その摂取過不足の影響をニュートリゲノミクスに基づき解析しています。
メープルシロップおよび鉄欠乏食の肝臓遺伝子発現に対する影響についてはすでに報告しています。メープルシロップ含有食を与えられたラットの肝臓では砂糖混合溶液含有食を与えられたものよりも肝機能マーカー値の低下が認められ、また、DNAマイクロアレイ解析の結果から遊離アンモニア産生酵素の発現が低下していることが明らかとなりました。遊離アンモニアは肝臓にとって有害な分子です。これらのことから、メープルシロップの肝臓機能改善作用の可能性が見出されました(1)。
鉄は必須のミネラルであり、鉄の摂取不足は貧血の要因のひとつであることが知られています。鉄欠乏食を与えられたラットの肝臓を調べたところ、食餌性の鉄欠乏は様々な代謝系に変化をもたらしており、なおかつアポトーシスも誘導することがわかりました(2)。また、食餌性の鉄含有量は貧血の症状を呈しない状態であっても肝臓の遺伝子発現に強く影響していることが明らかとなりました。 これらのことは一見健康そうに見えても、体内では様々な変化が起き始めていることを示唆するものでした。
(1) Watanabe Y. et al. Biosci Biotechnol Biochem. 75:2408-2410 (2011)
(2) Kamei A. et al. Physiol Genomics 42:149-156 (2010)
そのほか、文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラムの中で、トランスクリプトーム・エピジェノミクスを基礎においた食品評価について取り組んでいます。
食品機能性評価・分析サービスのご案内
KISTECが提供する神奈川県ME-BYOブランド認定の「ワンストップ型食品機能性評価サービス」を含む、食品機能性評価・分析サービスをご案内します。
詳細は → こちら
研究開発部 研究支援課 地域イノベーション推進グループ
TEL:044-819-2031 / FAX:044-819-2026
E-Mail : rep-kenkyu☆kistec.jp (☆を@にご変更ください)