令和4年度研究概要

未知を知る確率的AIチップの開発

AI自身が学習していない事象を「知らない」と判断する、新しい確率的AIの開発を目指します。

横浜国立大学大学院 環境情報研究院 
准教授 島圭介

 従来のAIは、「学習していない対象を判別できない」という根本的な課題を抱えています。また、 GPU(画像処理装置)や高速インターネットが満足に利用できない環境では十分な性能が発揮できるとは言い難い問題があります。
 本研究ではこれらの点を解決する新しい概念:“未知を知る”確率的AIを提案し、組み込みシステムや医療・産業などに広く応用可能なAIチップの開発を進めます。クラウド化や高機能PCの利用が困難な医療福祉・産業現場におけるAI技術の利活用によって高効率化・高性能化を図るとともに、神奈川県発の独自の概念:“未知を知る”確率的AIにより、AI産業と住民の生活を支える基盤技術の創出を目指します。

高重力場における3Dプリンタの超高機能化の研究

異重力場の力学的アナロジーに基づいて、3D造形プロセスの超高精度化・超高効率化を目指します。

慶應義塾大学  理工学部
専任講師 小池綾

 2020年代から始まる国際的な宇宙開発では、月面や火星面など過酷な環境で活動を継続するためにあらゆる装置のメンテナンスや修理が不可欠であり、無重力場や低重力場で利用可能な加工技術の確立は急務です。こうした情勢の中で、省資源性や省スペース性に優れる3Dプリンタが注目を集めていますが、材料浮遊や材料供給の不安定化、内部欠陥の増加などの技術課題が残ります。通常、これらの技術課題の解決法が研究対象になりますが、本研究は逆転の発想をもって、これらの技術課題を莫大なメリットに転換する高重力場3Dプリンタの開発を目指します。材料の固定力増加、材料供給の安定化は、通常扱えない質量単位の造形プロセスをハンドリング可能とし、造形精度と造形効率を両立して高めるほか、内部欠陥を一切排した高品質造形を可能にします。3Dプリンタによる産業革命を目指す世界的な気運の中で、「高重力場3Dプリンタ」の開発は次世代ものづくり産業の活性化を強く推し進めます。

非破壊画像検査用スマートシートの創出

様々な物を壊さずに検査できる柔軟な撮像シートを開発し、社会の安心・安全に貢献します。

中央大学 理工学部
教授 河野行雄

 様々な工業製品やインフラが日常生活に浸透し快適で便利な社会が実現されてきましたが、製品システムやその構成要素が高度で複雑になるにつれて、内部の異物混入や破損が予期せぬ事故につながることがあります。そのため、製品を壊すことなくこれらを検知すること-いわゆる非破壊検査-は重要な社会的ニーズとなっており、より高精度な検査技術の開発・導入が不可欠となっています。
 本研究は、代表者らが近年独自に開発したブロードバンド(ミリ波・テラヘルツ帯~可視光域)フレキシブルカメラを基に、対象の形状や測定環境に制限されにくい自由度の高い非破壊画像検査シートを創出します。これにより、ユーザーから独立したリモート撮像モジュールを構築することで、従来の有人作業に代わる利便性の高い自立型検査システムを開発し、社会の安心・安全確保に貢献します。