光造形方式3Dプリンターによる精度の報告

報告でわかること

 光造形3Dプリンター「M3DS-SA5/4KHi」(ミッツ社)を2020年2月に導入しました。この装置の機構と精度について報告します。

1.M3DS-SA5/4KHi装置の機構
 コーター方式と呼ばれる機構(図1)で、樹脂槽が移動してコーディングシート上に樹脂を均一に塗布させ、下部のプロジェクターのLEDによりスライスデータを投影し固め、一層ずつ積層される。吊り下げ方式で、造形物が逆さまに造形されます。(特長と主な仕様については、こちらをご覧ください。https://www.kistec.jp/sup_comm/iot_sup/3d_printer-2/)
     

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  • 図1 コーター方式の機構
  • 図1 コーター方式の機構

2.造形物の精度評価
 微細造形をテストで造形した際、細部に樹脂が入り込んで埋まること、造形ステージに対して水平方向の面と吊り下がりで積層される垂直方向の面に違いが生じることの懸念がありました。その課題とメーカーの推奨値などを踏まえたテスト造形形状を考案し、精度を確認しました。(今回精度評価に使用した樹脂の種類は、ショアA25弾性樹脂、アクリル樹脂。)
 *メーカーの推奨値、限界値の目安
   ゴムライクの場合、推奨値1.0㎜、限界値0.7㎜
   アクリル樹脂の場合、推奨値1.0㎜、限界値0.6㎜
   角度45°以上のオーバーハングが発生する場合は、専用ソフトもしくは3D-CADでサポートを付加

3.評価方法、結果
  3-1.穴径、厚さ、隙間の検証
   図2の穴径を評価する造形物と、図3の厚さ、隙間を評価する造形物を作製しました。
   造形ステージに対して垂直方向の面と水平方向の面に精度の違いも確認するため、L字形状としました。樹脂槽の移動で歪みが生じるため、サポートを付加しています。
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  • 図2 穴径評価造形物
  • 図2 穴径評価造形物

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  • 図3 隙間、厚み評価造形物
  • 図3 隙間、厚み評価造形物

    〇図2の結果
     ・ショアA25弾性樹脂…造形ステージ水平面φ1.5㎜以上、垂直面φ3㎜以上が造形可能
     ・アクリル樹脂…造形ステージ水平面φ2㎜以上、垂直面φ3㎜以上が造形可能
    〇図3の結果
     ・ショアA25弾性樹脂…造形ステージ水平面の溝1.0㎜幅以上、厚み0.7mm幅以上、垂直面の溝0.5㎜幅以上、厚み1.0㎜以上が造形可能
     ・アクリル樹脂…造形ステージ水平面の溝0.5㎜幅以上、厚み0.7mm幅以上、垂直面の溝0.5㎜幅以上、厚み0.7㎜以上が造形可能
     穴径、隙間、厚み評価では、水平方向の面と垂直方向の面に違いが生じることがわり、ステージ面に付着している水平方向面の方が精度が高いことが確認できました。
      
  3-2.チューブ形状穴径の検証
   図4に示すT字形状のサポート付加形状2種、穴径を変えた8種(φ0.7、0.8、1.0、2.0、2.2、2.5、3.0㎜)を造形し、造形ステージに対して垂直方向の面と水平方向の面に精度の違いを確認しました。
   サポート付加部分の右図は、サポート付加部分がステージ面に対して吊り下がる状態で、チューブ形状がステージに対して平行に造形されます。左図は、サポート付加部分がステージ面に吊り下がる状態で、チューブ形状がステージに対して斜めに造形されます。
   穴径が小さい場合、細部に樹脂が入り込んで埋まってしまうことがあり、右図のサポート付加による造形の方が穴が埋まらずに造形ができることを確認しました。
     
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  • 図4 チューブ形状穴径評価造形物
  • 図4 チューブ形状穴径評価造形物

      〇図4の結果
       ・ショアA25弾性樹脂…φ2.0以上は造形が可能
       ・アクリル樹脂…φ4.5㎜以上が造形可能
       T字形状で穴の造形を重視する場合、サポート付加し配置を斜めに造形した方が有効でした。

  3.オーバーハングの検証
    図5の5種の造形で、サポート付加なしで造形できるか確認しました。
   
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  • 図5 オーバーハング評価造形物
  • 図5 オーバーハング評価造形物

      〇図5の結果
       角度35°までサポート付加なしで造形が可能でした。メーカーの推奨角度より鋭角の角度を造形することができました。

ご利用を希望される方へ

同様の事例については、 技術開発受託(受託研究) でご利用いただけます。

M3DS-SA5/4KHiの造形のご依頼の際は、データから造形が可能な形状か、またサポートが必要かどうかを確認し、御見積致します。インクジェット方式の3Dプリンターと異なり、作業工程が多いため、納期までのお時間を頂いております。造形の大きさにもよりますが目安として2週間前後となります。お早めにご相談ください。

参考料金は以下の通りです。

料金表 (試験計測料金)

項目番号項目単位手数料
E5000三次元造形(光造形式3Dプリンター)1時間当たり1,430
E4997三次元造形前処理1時間当たり2,970
E4999三次元造形後処理1時間当たり3,300

詳細はお問い合わせください。

参考・関連リンク

今回の光造形方式3Dプリンターによる精度の報告の事例については、以下の関連ページもご参照ください。 3Dプリンター造形支援について 3Dプリンター(樹脂材料)による技術開発、製品開発、研究開発のための造形(試作)支援
耳たぶほどの軟らかさ(ショアA2)をはじめ柔らかい造形や伸縮性が必要とする造形の試作が可能です。
  • この分析事例に関連するお問い合わせ
  • 担当:情報・生産技術部 システム技術グループ
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