X線光電子分光法(XPS)による銅材表面の化学状態解析

化学状態解析でわかること

機械・材料技術部解析評価グループでは,銅材に生じた光沢低下の要因を調査するために,X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbeⅡ)を使用して,銅材表面から得られた光電子スペクトルおよびオージェ電子スペクトルを用いた化学状態解析を行いました。

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  • 写真1 銅材の外観
  • 写真1 銅材の外観

左側が本来の光沢がある銅材,右側が光沢が低下した銅材です。

X線光電子分光法(XPS)による表面分析

写真1の銅材について,X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbeⅡ)を使用して表面分析を行いました。

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  • 図1 Cu2p光電子スペクトル
  • 図1 Cu2p光電子スペクトル

銅(Cu)のメインピークとして観測されたCu2p光電子スペクトルです。
縦軸が強度,横軸が電子の結合エネルギー値(eV)になります。
それぞれのスペクトルにおけるピーク位置や形状は類似しており,特に違いは見られません。

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  • 図2 CuLMMオージェ電子スペクトル
  • 図2 CuLMMオージェ電子スペクトル

CuLMMオージェ電子スペクトルです。
光沢がある銅材と非光沢の銅材では,明らかにスペクトル形状の異なることがわかります。
これより,光沢のある銅材表面では主に金属Cuが,非光沢の銅材表面ではCu₂Oが存在していることがわかりました。
つまり,銅材の光沢が低下した要因として,表面への酸化物の形成が推測されました。

X線光電子分光法(XPS)について

XPSは,固体表面にX線を照射して光電効果により放出される光電子の運動エネルギー(Eĸ)と強度を測定する手法です。測定したEĸから各軌道における電子の結合エネルギー(Eʙ)が算出されます。Eʙは元素固有の値をもつため元素分析ができます。また,注目原子に結合する原子の種類や結合状態によってEʙは変化することがあり,このことを利用した化学状態解析もできます。なお,今回の例のようにX線励起のオージェ電子スペクトルを利用することもあります。
なお,XPSの測定深さは数nm程度になります。
※エネルギーのEは斜体

ご利用を希望される方へ

同様の事例については、 試験計測(依頼試験) でご利用いただけます。

参考料金は以下の通りです。

料金表 (試験計測料金)

項目番号項目単位手数料
E1980微小部X線光電子分光分析 (ワイドスキャンのみ)1試料1ヶ所につき13,750
E1982微小部X線光電子分光分析 (ワイドおよびナロースキャン) 1試料1ヶ所につき(6元素まで)20,350

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