FIB加工・SEM観察・EDS分析
集束イオンビーム装置<トリプルビームFIB/EDS>
概要
細く絞ったGaイオンビームを照射することで試料にナノメートル精度で自由な形状の加工ができます。発生する二次電子やイオンで試料の表面状態を観察(SIM像観察:Scanning Ion Microscopy)できます。画像を確認しながら作業できるので、異物付着部や内部欠陥など特定の位置を迅速に加工することが可能です。
装置
トリプルビームFIB/EDS(FIB-SEM-Arイオンミリング複合装置)
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株) XVision 200TB
XVision 200TBはFIB-SEM-Arイオンの3つのビームが試料の同一位置に交差するトリプルビームシステムを採用しています。
特長
- FIB加工を中断することなく断面をSEMでリアルタイムに高分解能観察を行うことができます。
- Gaイオンビームと同一位置に交差する低加速Arイオンビームでダメージ層を除去し、高品位なTEM試料を作製することができます。
- 200mmウェーハや小片試料の特定箇所からのTEM試料作製が可能で、プロセス評価・故障解析に威力を発揮します。
用途
♣ 表面・断面観察
♣ 微細加工
♣ TEM試料作製
♣ SEM、SAMの断面観察試料加工など
FIB加工とSEM観察、EDS分析を同一チャンバー内で行えます。
高分解能FE-SEMとEDS分析装置を搭載しており、FIB加工を中断することなく、断面をSEMでリアルタイムに観察を行うことができます。さらにEDSによる局所分析を行うこともできます。
めっき表面に発生した変色部分の断面観察および分析例
図1 イオンビームによる加工が進行していく様子
図2 EDSによる局所分析
定性分析の結果、A点からは塩素が検出され、B点とC点には特に異常は認められませんでした。塩素が原因で腐食が進行したと考えられます。
図3 分析点Aにおける定性結果
FIB断面加工によるSIM観察とSEM観察
SIM観察
SEM像に比べ試料表面に敏感
結晶方位の違いでコントラストが現れるため結晶粒が観察可能
分解能はSEM観察より劣る
試料にイオン照射しながら観察を行うためスパッタリングの影響がある
SEM観察
高分解能観察が可能
元素分析(EDS分析)が可能
検出器の切り替えにより、二次電子像、反射電子像が得られる
トリプルビームFIBではSIM像とSEM像を使い分けることにより、同一試料から異なる情報を得ることが可能です。
SIM
SEM
※上図は同一試料の同一視野から得たSIM像およびSEM像
FIB-TEM試料作製
マイクロプロービングシステム法
リフトアウト法では試料はメッシュ上の有機膜に密着しているため、有機膜がTEM観察や分析の妨げとなる場合があります。一方、マイクロプロービングシステム法では試料は宙に浮いた状態で保持されるため、有機膜は不要となり、高分解能観察や高精度分析を可能にします。また、マイクロプロービングシステム法では試料の追加工も可能です。
試料表面にデポジションを形成
FIBにより厚さ1μmまで加工
マイクロプローブによる試料の摘出
試料をメッシュに固定
マイクロプローブの切断
FIBにより厚さ100nmまで薄片化
同一チャンバー内でArイオンミリングによるFIBダメージ層の除去ができます。
FIB加工はGaイオンビームの照射により試料表面にダメージ層が生じるという問題点があります。
ダメージの種類
♣イオン注入により加工表面にアモルファス層が形成
♣イオン衝撃時の熱により加工表面が変質
トリプルビームFIBではこれらのダメージ層を除去するための Arイオンミリングを同一チャンバー内で行うことができます。また、この様子はSEMで観察することができるため、試料の加工終点を逃しません。
※当センターではダメージ層除去専用の精密イオン研磨装置(ジェントルミル LINDA社製)も保有しており、試料に応じてトリプルビームFIBのArイオンミリングとの使い分けを行い、高品位なTEM観察試料作製に対応しています。
解析例
TEL:044-819-2105 FAX:044-819-2108