液相法による高活性光触媒の作製

高活性光触媒の特徴

光触媒は、太陽光のエネルギーを利用して強力な酸化力を持つラジカル種を生成し、多くの有機物を分解することができます。防汚や浄化を目的として外壁や空気清浄機等に使われており、また、抗菌・抗ウイルス機能を持つことから感染症対策への利用も期待されます。
ここでは、KISTECが発明し、2019年12月に特許登録された高活性光触媒を紹介します。中小企業の皆様にも使っていただけるよう、特殊な設備を使用しない液相反応を採用しました。まず、アパタイト粒子を析出反応により合成し、Tiアルコキシドを用いてアパタイト/酸化チタン複合体を得ました。この複合体を焼成・酸処理することにより、試料を作製しました。試料はナノ粒子から構成されており、直径数ミクロンの貫通孔を有することが分かりました(図1)。また、光触媒活性が高い酸化チタンのアナターゼ相の相転移を抑制しながら高温焼成することに成功し、高い比表面積・アナターゼ相含有率と高い結晶性を同時に満たすことができました(図2)。

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  • 図1 作製した光触媒試料のSEM像; (a)20,000倍  (b)2,000倍
  • 図1 作製した光触媒試料のSEM像; (a)20,000倍 (b)2,000倍
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  • 図2 アパタイト複合化の効果; (a)比表面積と焼成温度, (b)XRDアナターゼ相含有比と焼成温度
  • 図2 アパタイト複合化の効果; (a)比表面積と焼成温度, (b)XRDアナターゼ相含有比と焼成温度

★特許第6623364号

市販品との比較

SEM像から凝集粒子径を、メチレンブルー色素を用いた分解速度試験から光触媒活性を評価し、図3にプロットしました。作製した試料は、市販の酸化チタン光触媒と比較して、凝集粒子径は10~20倍大きく、光触媒活性は2~3倍高いことが分かりました。
光触媒用途では比表面積を稼ぐために従来からナノ粒子が使われてきましたが、人体への有害性が懸念されています。ナノマテリアルの有害性がクローブアップされるほど、粗大な凝集体のニーズは高まると予想しています。また、この試料は嵩(かさ)が低いため、運搬費の削減効果も期待できます。一方で、アンモニアガスを対象とした試験では分解速度が遅く、対象物によっては高活性の効果を発揮しないことが分かっています。詳細はお問合せ下さい。
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  • 図3 市販品との比較
  • 図3 市販品との比較


★本研究の一部は、東京理科大学との共同研究として実施しました。
★本研究成果は、国際誌Materials Research Bulletin vol.83 (2016) 340-344に掲載されました。
★関連する研究成果が、Ceramics International vol.37 (2011) 1563-1568, Journal of Physics and Chemistry of Solids vol.73 (2012) 343-349, Materials Research Bulletin vol. 48 (2013) 2272-2278, Applied Clay Science vol.90 (2014) 61-66に掲載されました。Appl. Clay Sci.の研究は東京工業大学 応用セラミックス研究所(現:フロンティア材料研究所)の共同利用研究に採択され実施しました。

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