技術開発可能性評価支援内容:令和元年度

テーマ1:レーザーリフトオフによる高分子材料の剥離可能性評価

目的

 素子の小型化やフレキシブル化の為にはガラス基板や結晶基板から素子を剥離させる技術として、レーザーリフトオフ(LLO)が注目されている。基板上に塗られた高分子材料接着剤をレーザーにより変質させ素子を剥離する方法である。主に赤外線が用いられる手法であるが、省エネルギー化の可能性について検討するため、紫外線照射による剥離評価を行った。

可能性評価の具体的な実施内容と結果

 従来の赤外線を用いる場合は、赤外線を吸収するために接着層は剥離層と接着層の2層構造になっている。この工程の省エネルギー化のため紫外線によるレーザーリフトオフによる剥離を検討した。そのプロセスとして剥離層を省いた接着層のみの1層構造への紫外線照射を検討した。照射条件として、レーザーパワー、スキャン速度、ピッチ、ビーム半径などの最適化を行ったところ、ビーム径120~130μm、エネルギー密度300mJ/cm2以上の条件では、紫外線レーザー照射により、ガラスと基板との剥離が確認できた。従来の赤外線に代わり紫外線による効率的なレーザーリフトオフ装置開発のための基礎データが取得できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

貼り合わせの構造
貼り合わせの構造
被加工物の上からレーザーを照射

評価

 フレキシブル基板の剥離において、紫外線レーザーの照射条件の最適化により、接着層がアブレーションされ剥離が可能となることが本評価により明らかになった。更に接着層の選択によりプロセスの高速化が期待される。

 


テーマ2:微細加工ミスト抑制法の検討

目的

 めっき作業ではめっき工程において発生するミストにより,作業員が肌の炎症などを生じる危険性があり,特にクロム酸ミストでは鼻中隔穿孔など鼻や上部気道障害を引き起こす問題がある。対策として,ミスト発生抑制剤をめっき浴に添加しているが,大きい浴槽では添加量が多くなること,浴内での抑制剤の消耗による添加によって使用量が多くなる問題がある。そこで,発泡性のミスト発生抑制剤を開発し,めっき液面に噴霧することで抑制剤使用量を削減し,効率的なミスト抑制をめざす。

可能性評価の具体的な実施内容と結果

 クロムめっき用の浴槽からめっき作業中に発生するミストを捕集し,ミスト中のクロム酸濃度を測定した。ミストの捕集は「作業環境測定ガイドブック」に準じた手法で採取し,ジフェニルカルバジド吸光光度法により六価クロム酸の濃度を測定した。

 評価試験は通常のメッキ作業中の場合とミスト発生抑制剤を噴霧した場合とを比較した。めっき作業時にはめっき浴から発生する気泡によりミストが発生している。抑制剤を噴霧した場合には噴霧直後から抑制剤が発泡し,めっき浴表面が発泡した抑制剤に覆われた。この時の大気中のクロム酸濃度は通常作業時に比べて,クロム酸ミストを30%程度低減できることが確認された。一方で噴霧時の空気の流れによってミストの拡散も生じることから,今後は噴霧方向や噴霧時間,排気装置の排気量について検討する必要がある。

評価

 発泡性のミスト発生抑制剤を噴霧することで,少量でめっき浴からのミストを抑制できることが確認できた。今後は噴霧時間や排気装置との風量を調整することで効率的にミストの抑制が可能であることが示された。