戦略的研究シーズ育成事業

事業概要

 戦略的研究シーズ育成事業は、地域の経済的価値(新産業・新事業)の創出や地域の社会的価値(クオリティー・オブ・ライフの向上等)の創出へ繋がる研究シーズの育成を目的とした共同研究事業です。研究課題は毎年度、公募・選考によって選出します。本事業終了後は、KISTECが実施する大型の研究事業への展開を目指していただきます。

研究課題

 KISTECが主要研究分野として掲げる「基礎科学・計測」「ナノテクノロジー・材料化学」「エレクトロニクス・情報技術」「ライフサイエンス」のいずれか、またはこれらの分野を超えた複合領域に属するものであって、本事業の事業目的に合致する研究課題を広く募集します。

事業体制

 採択された研究課題の提案者を研究代表者として、KISTECと研究代表者の所属機関との間で共同研究契約を締結し、所属機関を研究実施場所として本事業を実施していただきます。KISTECは、研究課題毎に専属の研究員を雇用し、研究実施場所に派遣して研究代表者の指揮下で研究業務に従事させます。当該常勤研究員の雇用に際し、研究代表者はKISTECに対して相応しい研究者を推薦することができます。また、共同研究を実施するうえで、KISTECの職員らによる様々な支援を受けることができます。

戦略シーズスキーム図1

他事業への展開

本事業終了後、研究の進捗や成果等に応じて、審査を経て他の研究事業へ展開(ステップアップ)します。審査の結果、他事業へ移行せず終了する場合があります。また、産技総研が実施する他の事業、国や他機関の研究事業等への展開を提案させていただく場合があります。

戦略シーズスキーム図2

公募について

公募に関する条件は概ね以下の通りです。詳細は専用ページにて公開します。

  • 予算規模 1,300万円程度
  • 実施期間 2年間

採択者の所属・役職は、採択時のものとなっております。

内在性の因子を活用した造血幹細胞の増幅技術を開発し医療に貢献します。

 全ての血液細胞を産生する能力を持つ造血幹細胞は、造血器腫瘍の根治療法である幹細胞移植に活用されています。骨髄や臍帯血に含まれる造血幹細胞は非常に稀少である一方、今後少子高齢化がさらに進む我が国においては、骨髄ドナーや臍帯血バンクの確保が困難になることが予想されています。そのために、限られた幹細胞リソースを活用する必要があります。

 本研究では、私たちが発見した体内に存在する造血幹細胞増幅因子の作動メカニズムを解明しながら、ヒト造血幹細胞を増幅する培養技術の開発に取り組みます。

様々な分析・検査で有用な質量分析を超高感度化する微小流路デバイスを開発します。

 質量分析は、バイオ、製薬、環境、食品など様々な分野における分析・検査に利用されており、近年では、難病の病態解明のために細胞が産生するタンパクを1細胞レベルで解析する単一細胞プロテオミクスをはじめ最先端の超微量分析への応用も期待されています。しかし、従来法では、分析対象である液体試料を質量分析計に導入・イオン化・検出する際に、試料を噴霧するため大部分が飛散してしまい、質量分析計への導入率が極めて低く感度に限界があるという原理的な問題がありました。そこで本研究では、微小な流路を利用して液体試料を体積100 fL※の均一な超微量液滴に連続的に変換し軌道を制御して射出することで、試料を逃さず全て質量分析計に導入・イオン化し超高感度で検出する技術を開発します。

※ fL(フェムトリットル):1000兆分の1リットル

学習していない事象を「知らない」と自己判断する、 AI搭載型ハードウェアの開発を目指します。

 従来のAIは、「学習していない対象を判別できない」という課題を抱えています。また、高性能なGPU・CPUや高速インターネットが満足に利用できない環境ではその性能が十分に発揮できない問題があります。本研究ではこれらの点を解決し得る“未知を知る”確率的AIを拡張させ、組み込みシステムや医療・産業などに広く応用可能なAIハードウェアプラットフォームの開発を進めます。筋電義手をはじめとする福祉や医療、産業現場における異常検知ハードウェアなど、開発したAI技術の利活用が可能なハードウェアを実現することで、 AI産業と住民の生活を支える基盤技術へ発展させることを目指します。

ペースメーカ細胞移植による徐脈性不整脈の新たな再生医療技術開発を目指します。

 洞不全症候群や房室ブロック等の徐脈性不整脈は、ペースメーカの役割を担う細胞がさまざまな原因により傷害されることにより生じます。重症なケースでは、心不全症状や脳虚血症状が生じるため、一般的に人工ペースメーカ植え込み術が行われています。しかしながら、デバイス感染やリード断線や機器メンテナンス等、さまざまな課題が存在しています。そこで本研究では、ヒトiPS 細胞からペースメーカ細胞を含むオルガノイドという組織塊を効率よく作製し、徐脈性不整脈患者の心臓に移植することで、人工ペースメーカ植え込み治療ではなし得なかった、徐脈性不整脈に対する真の根治治療法開発に取り組みます。

R5戦略S遠山

※ 徐脈性不整脈:様々な要因により脈拍数が低下する不整脈

バイオマス由来の新素材を用いた次世代電子デバイス基材の開発を推進します。

 Beyond 5G対応の電子デバイスの需要が高まっており、それを構成する基材の高性能化が求められています。しかし、このような基材には従来よりも高いスペックと低環境負荷性が求められます。そこで本研究では、バイオマス由来の新素材であるセルロースナノファイバー(CNF)を基材に応用することを目指します。そのためには、CNF の高熱伝導率化と低誘電率化が大きな課題となりますが、それを多段階のボトムアッププロセスを通じてCNF 構造を精密制御することで実現します。この際、微視的な視点で構造と物性の因果関係を整理し、物性の支配因子を同定するフォノンエンジニアリングを活用することで、指導原理に基づいた熱・電気特性の高性能化を実践し、CNF 製の
次世代フレキシブル電子デバイス基材を開発します。

R5戦略S塩見

※ Beyond 5G:5G の機能の高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼
性」「自律性」「拡張性」の機能を備える移動通信システム

テラヘルツ領域の変化を“見える化”し、次世代技術の開発に貢献します。

 次世代の超高速データ通信の基盤として、高速に大容量のデータが伝送できる技術の開発が急務となっています。このためには高い周波数の変調信号を生成・検出する必要がありますが、そのためには、信号を伝送する搬送波としてさらに高い周波数の電磁波を利用することが不可欠となります。そこで本研究では、このような高い周波数の電磁波であるテラヘルツ波や光に着目し、その超高速の変調を高感度に計測する装置の開発を目指します。このようないわばテラヘルツ領域の帯域を持つオシロスコープを開発することによって、信号伝送におけるデバイス開発の際にカギとなるツールを確立し、通信技術のさらなる広帯域化・高速化に貢献することを目指します。

R5戦略S片山

計算・データ科学手法を駆使して、新材料の開拓を飛躍的に効率化することを目指します。

 昨今のエネルギー・資源情勢や環境問題を背景に、卓越した機能はもちろんのこと、豊富に存在する元素から構成され無毒で環境調和性が高いことなど、新材料開発における要望は厳しくなっています。このような多様なニーズを満たす新材料を見出すには、的確な材料設計・探索の指針に基づいて、可能な限り広い探索範囲から有望な材料の候補を効率的に絞り込む必要があります。本研究では計算・データ科学に立脚してインシリコ(計算機中)で無機導電材料の設計・探索を行うための基盤技術を開発し、一般に難題である新材料の開拓を飛躍的に効率化することを目指します。パワーデバイスや薄膜太陽電池等の高性能化をもたらす新たな無機導電材料の提案と計算・データ科学の支援による材料開発の効率化を通じて、脱炭素・省エネルギー社会の実現に貢献します。

R5戦略S大場

※ パワーデバイス:電力の制御や変換を行う半導体素子

DX 推進と低消費電力化の両立を可能にする半導体集積技術の開発を目指します。

 昨今のデータセンターの急増による消費電力の増大は大きな社会課題になりつつあります。これらは半導体の省エネを志向した技術革新なくして解決不可能であり、その筆頭と目されるのが「3D 半導体集積技術」です。本研究では、研究者が開発した大規模チップ集積技術と微細接続技術の応用により革新的3D 融合デバイスを開発し、エッジ、クラウド両方での省エネ化を目指します。さらに継続的な半導体デバイスの発展はAI の性能向上に直結し、副次的に様々な分野での省エネルギー化に貢献可能です。さらに本研究は「神奈川発 大規模半導体R&D 開発拠点」形成の始点としての位置づけをもっています。各研究拠点を相互活用、補助できる体制を構築し、2050 年における世界最大の半導体R&D 拠点の形成を目標とし研究を推し進めます。

R5戦略S井上

※ データセンター:サーバーやネットワーク機器等の設置・運用に特化した施設
※ エッジ、クラウド:ここではネットワークやソフトウェアなどのサービス提供側をクラウド、端末側をエッジとしている

AI自身が学習していない事象を「知らない」と判断する、新しい確率的AIの開発を目指します。

従来のAIは、「学習していない対象を判別できない」という根本的な課題を抱えています。また、 GPU(画像処理装置)や高速インターネットが満足に利用できない環境では十分な性能が発揮できるとは言い難い問題があります。
 本研究ではこれらの点を解決する新しい概念:“未知を知る”確率的AIを提案し、組み込みシステムや医療・産業などに広く応用可能なAIチップの開発を進めます。クラウド化や高機能PCの利用が困難な医療福祉・産業現場におけるAI技術の利活用によって高効率化・高性能化を図るとともに、神奈川県発の独自の概念:“未知を知る”確率的AIにより、AI産業と住民の生活を支える基盤技術の創出を目指します。

戦略・島P図

異重力場の力学的アナロジーに基づいて、3D造形プロセスの超高精度化・超高効率化を目指します。

 2020年代から始まる国際的な宇宙開発では、月面や火星面など過酷な環境で活動を継続するためにあらゆる装置のメンテナンスや修理が不可欠であり、無重力場や低重力場で利用可能な加工技術の確立は急務です。こうした情勢の中で、省資源性や省スペース性に優れる3Dプリンタが注目を集めていますが、材料浮遊や材料供給の不安定化、内部欠陥の増加などの技術課題が残ります。

戦略小池P図

通常、これらの技術課題の解決法が研究対象になりますが、本研究は逆転の発想をもって、これらの技術課題を莫大なメリットに転換する高重力場3Dプリンタの開発を目指します。材料の固定力増加、材料供給の安定化は、通常扱えない質量単位の造形プロセスをハンドリング可能とし、造形精度と造形効率を両立して高めるほか、内部欠陥を一切排した高品質造形を可能にします。3Dプリンタによる産業革命を目指す世界的な気運の中で、「高重力場3Dプリンタ」の開発は次世代ものづくり産業の活性化を強く推し進めます。

様々な物を壊さずに検査できる柔軟な撮像シートを開発し、社会の安心・安全に貢献します。

様々な工業製品やインフラが日常生活に浸透し快適で便利な社会が実現されてきましたが、製品システムやその構成要素が高度で複雑になるにつれて、内部の異物混入や破損が予期せぬ事故につながることがあります。そのため、製品を壊すことなくこれらを検知すること-いわゆる非破壊検査-は重要な社会的ニーズとなっており、より高精度な検査技術の開発・導入が不可欠となっています。

戦略河野P図

本研究は、代表者らが近年独自に開発したブロードバンド(ミリ波・テラヘルツ帯~可視光域)フレキシブルカメラを基に、対象の形状や測定環境に制限されにくい自由度の高い非破壊画像検査シートを創出します。これにより、ユーザーから独立したリモート撮像モジュールを構築することで、従来の有人作業に代わる利便性の高い自立型検査システムを開発し、社会の安心・安全確保に貢献します。

テラヘルツ領域のリアルタイム計測が可能なオシロスコープの開発を目指します。

テラヘルツ(THz)領域は、1秒間に1012回(1兆回)振動する電磁波を指しており、次世代のデバイス開発や、イメージング応用などで注目を集めている周波数領域です。しかしこの領域の電磁場を検出することは難しいことに加え、その波形をリアルタイムで検出できるデバイスはこれまでに実現しておらず、テラヘルツ領域の利用を妨げる一因の一つになっています。

戦略片山P図

そこで本研究では、超短パルスレーザーやファイバーなどの光技術を活用することによって、テラヘルツ領域の電場波形を簡便、かつ高速に検出する技術を開発し、従来技術では到達できない広帯域のテラヘルツオシロスコープを実現します。また、本技術によって、テラヘルツ技術の応用範囲が広がり、産業の振興に貢献することを目指します。

疾患モデルiPS細胞創出技術と、新型コロナウイルス感染症に対する創薬基盤技術を開発します。

 本研究では、2020年ノーベル化学賞に輝いたクリスパー・キャス9技術*1を基盤に、その一歩先をいく最先端ゲノム工学技術「ゲノム構築技術」を駆使し、革新的な創薬研究基盤を神奈川県に構築します。ゲノム構築技術によって、様々な生物種のゲノムの好きな部位を、クリスパー・キャス9技術単独では不可能なほど大規模に好きなゲノム配列へと改変できるため、創薬研究に活用できる新しいタイプの人工細胞や人工ウイルスの創出が可能となります。本グループが培ってきたゲノム構築技術を用い、様々な疾患に特有のゲノム変異をもつiPS細胞を創出し、発症機構の解明、治療薬の探索、治療技術の開発を可能とする技術基盤の開発を進めるとともに、新型コロナウイルスに対する創薬基盤の確立も目指します。

戦略相澤P図

※1 クリスパー・キャス9技術(CRISPR-Cas9):生物の遺伝子配列情報が全て書き込まれているゲノムDNAの任意の配列部位だけを改変する技術。安全に改変できる部位の数は限られるなど技術的制限をもつ。

新しい二次元電子素子の開発を目指します。

グラフェンに代表される単原子層物質は特殊な電子物性や物理特性から、次世代の電子デバイスへの応用が期待されてきました。なかでもホウ素からなるボロフェンは、高いフレキシビリティと高強度性からポストグラフェン材料として注目を集めています。しかしながら、これまでに報告されていたボロフェンは安定性が極めて低く実用化は不可能と考えられてきました。本研究ではボロフェン骨格を持つ安定なホウ素原子層シートを化学原料から液相で合成できる「化学ボロフェン」を開拓します。この化学ボロフェンの安価で簡便な合成手法を確立し、化学修飾や元素置換により機能化を推し進めることで、既存材料では発現できない新しい二次元素子材料の開拓を目指します。

戦略神戸P図

体内の医薬品を光で操作する新しい医療技術を開発します。

医薬品として用いられる分子(化合物、ペプチド※1、抗体、酵素など)や細胞、ウィルス等は、いったん生体の中に入ってしまうと、その働きを生体の外からコントロールするのが極めて困難です。このことが、薬効が高く副作用が低い優れた医薬品を開発する上での大きなハードルとなっています。

戦略佐藤図

本研究では、乗用車に取り付けられたアクセルやブレーキのように、生体の中に入った医薬品の働きを光で、特に、生体組織の透過性が極めて高い近赤外光※2で自由自在に操作するための、一般性・汎用性の高い基盤技術を開発します。これにより、光照射による遺伝子治療やガン治療等の革新的な医療技術の実現を目指します。

※1 ペプチド : 複数のアミノ酸がつながった(ペプチド結合)状態。より多くのアミノ酸が結合したものをタンパク質という。

※2 近赤外光 : 波長がおよそ0.7~2.5µmの可視領域に近い電磁波。テレビのリモコンや医療機器等に使用されている。

貴金属フリーな物質変換・エネルギー活用技術の開発を目指します。

 触媒は、化学工業における物質合成プロセスや燃料電池等におけるエネルギー活用技術、自動車等の排気ガス分解過程など、現代社会の多くの分野で重要な役割を担っています。従来、触媒としてはパラジウムや白金に代表される貴金属から構成されるものが主に用いられてきましたが、これらの貴金属は希少資源であり高価であるなどの課題があります。本研究では、研究代表者らがこれまでに開発してきた、鉄に代表される普遍金属のみを用いた触媒合成技術を基に、貴金属を用いない新触媒を開発します。開発した触媒を、貴金属フリーな化成品合成やエネルギー活用技術へと展開し、貴金属に依存しない社会の構築に貢献することを目指します。

戦略砂田図

新しい光源技術に基づいた高性能分析装置を開発します。

カーボンナノチューブ※3やグラフェン※4を用いた光源は、超小型で超高速な光源をシリコンなどのあらゆるチップ上に集積化できることから、本光源を用いることで、従来の電球や半導体光源では実現できない新たな分析装置を開発することができます。本研究では、ナノカーボン材料のナノ構造に注目し、従来の光分析での空間分解能の壁を打ち破る、全く新しい高空間分解能の光分析装置を開発します。このような全く新しい高分解能の光分析装置を実現することにより、従来の光分析装置では困難であった微小領域の分析や高分解能のイメージング装置を開発することが可能となることから、化学、物理、材料、バイオ領域といった幅広い分野で利用可能な新しい光分析技術を構築します。

戦略牧P図

※3 カーボンナノチューブ : 炭素原子が網目状に結合し円筒状構造となったもの。

※4 グラフェン:炭素原子が網目状に結合してシート状構造となったもの。

スマートセルの効 的作製法の確立を目指します。

細胞を自由自在に改変し産業利用する「スマートセル産業」の時代が幕開けつつあります。スマートセル作製の手法として、ランダム変異を利用した有用形質のスクリーニング(指向進化)が用いられていますが、スクリーニングの指標とする形質が限られてしまうという限界がありました。

戦略合田P図

本研究では、研究代表者らがこれまでに開発してきた生きた細胞内の分子を高速・無標識で解析する光計測技術にマイクロ流体技術と人工知能を融合することで、特定の分子を多く含有するスマートセルを高効率に分取する無標識AI セルソーターを開発します。それにより、指向進化の適用範囲を拡大し、燃料や医薬品など種々の分子を高効率に生産するスマートセル作製法を確立する事を目指します。

人工細胞足場※1を創製し、脳梗塞の再生医療技術を開発します。

脳の血管が詰まってニューロン※2 が脱落する病気、脳梗塞で生じる手足の麻痺は、運動機能の司令塔であるニューロンが自然治癒力で再生修復しないため、ほとんど治りません。しかしながら、最近の脳研究の発展により、損傷した脳が再生能力を秘めていることが明らかとなってきました。これまで研究代表者らは、損傷した脳の潜在的再生能力を発揮させる人工細胞足場を開発してきました。本研究では、ヒトへの医療応用を実現するために生体適合性が高く、低侵襲性の人工細胞足場を創製し、脳梗塞モデル動物で生じる手足の麻痺の治癒効果を発揮させることを目指します。

戦略味岡図

※1 人工細胞足場: 生体内の細胞は足場となる生体構造と三次元的に接しており、その生体構造を人工的に模倣した材料。

※2  ニューロン:脳を構成する最も重要な細胞の1つで神経細胞と呼ばれる。入力刺激を受け取り、活動電位を発生させ、接続するニューロンに情報を伝達する細胞。

量子技術に基づく次世代情報通信技術を開発します。

 光と物質の量子技術開発によって、長距離量子通信などにつながる量子デバイス・システム実装を目指します。量子通信によって、インターネットを含む古典通信だけではなく、量子コンピュータ※3 をクラウド化する際の量子状態伝送における安全性も確保できます。本研究では光ファイバー中を送られる光量子状態を物質量子状態へ転送・制御・保存する量子技術を研究開発し、量子コンピュータ・メモリーなど遠隔量子デバイスとの結合技術へとつなげます。これにより従来の古典通信では達成できないセキュリティや計算機に関する基盤技術の実装を目指します。

戦略堀切P図

※3 量子コンピュータ:従来のコンピュータと異なる量子状態の重ね合わせを利用した計算機。

高効率で実現性の高い毛髪再生医療技術を開発します。

脱毛症は、生命には直接関わらないものの、個人の印象に大きく影響することから悩みを抱える人は少なくありません。近年、自分自身の細胞を培養・移植することで毛髪を再生する毛髪再生医療が新しい治療法として注目されています。研究代表者らは、毛髪を再生させるための細胞凝集塊(毛包※1 原基)を一度に大量に調製する独自の培養技術を開発しました。本研究では、この技術シーズをもとに、医療機関等と連携し、ヒト治療に必要な数千個の毛包原基を調製する技術、毛包幹細胞※2 を毛髪再生能力を維持したまま大量に増殖させる技術、毛包原基を精密に移植する技術を開発し、毛髪再生医療の実現に取り組みます。

戦略福田P図

※1 毛包:毛を生み出す器官。

※2 毛包幹細胞:毛包を形成・再生させる2 種類の細胞。

新原理に基づく高性能分析装置を開発します。

本研究では、カーボンナノチューブやグラフェンを用いたチップ上の超小型・超高速ナノカーボン※3 光源を用いて、従来のマクロな光源では実現できない全く新しい原理の分析装置開発を行います。ここでは、ナノカーボン光源を用いた分析技術の原理実証を行うとともに、分析装置に最適化したナノカーボン光源の開発も行います。また、これらの技術を融合して、新規分析装置のプロトタイプ開発まで進めて、ナノカーボン光源の優れた特性を生かした新しい分析装置の基盤技術を構築します。これにより、現在の分析装置では達成できない高い空間分解能や時間分解能を有する新たな分析装置システムの実現を目指すとともに、本技術を広い分野で応用することを目指します。

戦略H30牧P図

※3 ナノカーボン: ナノメートル単位の炭素粒子で構成される物質。形状によりカーボンナノチューブやグラフェン等がある。

生体模倣技術を応用した新規接合技術の実用化を目指します。

次世代の自動車や航空機などの輸送機器において、軽量化、省燃費化、リサイクル性、生産性の観点から、主要構造材料に熱可塑性※4 炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)を採用するための技術開発が行われており、次世代輸送機器はCFRTP と金属材料とのマルチマテリアル構造となることが想定されています。しかし、CFRTP の母材である熱可塑性樹脂は金属材料との接着性に乏しいことが課題となっています。そこで、本研究では、自己組織化によりアルミニウム合金表面に高秩序、高密度なナノ空間構造体を創製し、ファンデルワールス力やアンカー効果によりCFRTP との接着強度や破壊靱性※5 を向上させた、革新的な異種材料直接接着技術を開発し、CFRTP の次世代輸送機器への更なる利用拡大を目指します。

戦略細井図

※4 熱可塑性:加熱により軟化する性質。
※5 破壊靭性:材料の破壊に対する抵抗力。

患者のQOL向上に寄与する丈夫で廉価な『貼るだけ人工膵臓』の開発・実用化を目指します。

糖尿病治療およびその合併症の予防には厳格な血糖管理が必須ですが、患者の生活の質を損なわず、安全かつ長期的に有効な治療法は未だ確立されていません。本研究では、スマートゲル※1を応用した自律型のインスリン※2供給機構とマイクロニードル等の低侵襲皮下導入技術を融合した「貼るだけ人工膵臓」を開発します。機械に頼らず、痛みなく、安く、使い捨て可能な技術で、糖尿病におけるアンメットメディカルニーズ※3、すなわち、長期的な血糖管理、低血糖の回避、患者負担の軽減、の解決を目指します。

※1 スマートゲル:外部刺激に応答して物理化学的性質を変化させる高分子ゲル。
※2 インスリン:膵臓から分泌され、血糖を抑制する作用のあるホルモン。
※3 アンメットメディカルニーズ:強く望まれながらも満たされていない医療上のニーズ。

汎用性の高い有機超弾性材料の導出を目指します。

“超弾性”とは、塑性変態した固体が自発的に構造回復する特性で、これまで超弾性合金※4・形状記憶合金※5など特殊な合金でのみ見られる特異な物理特性として極めて限定的に発展してきました。研究代表者は、2014年に世界で初めて単純な低分子有機化合物結晶が超弾性現象を発現するのを見出しており、本研究では、低分子有機物における超弾性研究を深化させて基礎的な知見の基盤を構築し、実用性の高い有機超弾性材料の導出を目指します。

※4 超弾性合金:外部からの力で変形しても、その力を取り除くと元の形状に戻る性質を持つ金属。

※5 形状記憶合金:変形後にある一定の温度以上に加熱すると元の形状に戻る性質を持つ金属。

独自の物質設計指針で環境に優しい機能性材料を開発します。

全てのモノがインターネットにつながるIoT※6社会の実現に向けて、電子デバイスの消費電力の低減や、環境負荷の小さい材料の開発が求められています。精密構造解析と電子状態解析に基づく物質設計で、低消費電力不揮発性メモリ材料につながる強磁性強誘電体※7や、風や振動から電気エネルギーを生む圧電発電のための非鉛圧電体※8、外気温の変化から生じる熱歪みを吸収する負熱膨張材料※9などの、革新的な環境調和機能性材料を開発します。

※6 IoT:Internet of Thingsの略。あらゆる物をインターネットにつなげるため、外部から電源を供給されないセンサーなどの屋外設置が爆発的に増える。
※7 強磁性強誘電体:磁石の性質(強磁性)とコンデンサーの性質(強誘電性)を併せ持つ材料。両者の相関を用いることで、低消費電力のメモリを実現できる。
※8 非鉛圧電体:環境に有害な鉛を含まない圧電体。運動と電気信号を変換する。
※9 負熱膨張材料:温めると縮む材料。熱膨張による位置決めのずれを補正できる。

次世代医療・福祉ロボットの実現に向けて、力触覚技術※1を応用した革新的アクチュエータ※2を開発します

超高齢社会が加速する我が国では、QOL 向上に直接寄与する手術支援ロボット※3やリハビリテーションロボット※4など、国産の医療福祉ロボットの開発と実用化が望まれています。しかし、既存の医療福祉ロボットは本質的には工作機械や産業ロボットの延長に留まっており、人体を含む対象との柔らかい接触動作を実現することが困難であるため、適用可能な範囲が限定されています。本研究では、手術やリハビリテーションにおいて望まれる柔らかい運動を可能にする、力触覚技術を応用した様々なアクチュエータを開発します。また、他の研究機関や医療機関と連携して医療福祉ロボットの試作や臨床試験に臨み、将来的には国際競争力を有する神奈川発の次世代医療福祉ロボットの実現を目指します。

※1 力触覚技術:視覚、聴覚に続く新しい感覚技術。対象に力を伝えるとともに対象からの力を感じ取る(力覚を双方向に伝送させる)ことができる。
※2 アクチュエータ:入力されたエネルギーを機械・電気回路等により様々な運動(直線、回転など)に変換する駆動装置。
※3 手術支援ロボット:遠隔操作による低侵襲で精密な手術を可能にするロボット。
※4 リハビリテーションロボット:障害を持つ人のリハビリテーションを支援するロボット。

高信頼性マテリアルデザインを確立し、高度ものづくりサイエンスを実現します。

我が国のエネルギー政策の転換に向けた技術やシステムの向上は喫緊の課題ですが、これを支えるのはその基板となる革新的な材料であるといっても過言ではありません。本研究では、高機能・高信頼性を共発現する材料の創製を目指し、局所領域破壊特性※6のナノ・ミクロスケール計測技術および破壊シミュレーションを元に新規な材料設計手法を確立します。併せて、LEDや絶縁基板等の最終製品を意識した革新的材料の開発を行います。

※5 エコマテリアル:優れた 特性・機能を持ちながら、環境や人間への負荷がより少ない材料。
※6 局所領域破壊特性:材料の局所領域の破壊靭性や強度。本テーマでは提案者らが考案した、ほぼ全ての材料の破壊特性評価に適用可能な評価法を用いる。

加工性と機械的特性に優れた、新世代の巨大負熱膨張材料の実用化を目指します。

電子機器や光学機器等、複数の素材を組み合せるデバイスでは、熱膨張による位置ずれが問題になる他、各素材の熱膨張系数※7の違いが界面剥離※8や断線といった深刻な障害に繋がるため、多くの産業分野において熱膨張制御への強い要請があります。これに対し、これまでに熱膨張抑制を目的として様々な負熱膨張材料(温度が上がると縮む材料)の研究・開発が進められています。本研究では、新たなメカニズム(サイト間電荷移動)により従来の3倍近い負の熱膨張率を持つ第三世代負熱膨張材料※9を軸に、温度履歴※10を持たず広い温度範囲で巨大負熱膨張を実現する革新的な負熱膨張物質を開発します。また、産業化・実用化を目指して、従来の半分程度の圧力下での材料合成法や、負熱膨張物質の薄膜育成等にも取り組みます。

※7 熱膨張系数:温度変化に対して物質が膨張する割合。一般に、樹脂は金属やセラミックス等に比べて熱膨張系数が大きい。
※8 界面剥離:素材同士が接合面から剥がれること。
※9 第三世代負熱膨張材料:結晶構造や磁気体積効果に起因する従来の負熱膨張材料に対し、東教授が発見したサイト間電荷移動メカニズムにより高い負熱膨張効果を持つ材料を第三世代と呼ぶ。
※10 温度履歴:昇温過程と降温過程で物質の状態に違いが出ること。

医療現場において不足している輸血用血小板を安定供給できる新規技術を目指します。

 血小板輸血は、出血や抗がん剤使用時などで起こる血小板減少の唯一の治療法ですが、その血小板は善意の献血に100%依存しており、医療現場における不足が深刻な課題となっています。全ての細胞に分化できるiPS細胞※1から血小板を得る研究も精力的に実施されていますが、iPS細胞を経由する点で時間がかかる他、さらに目的の細胞へ分化させるには、まだ課題があります。本研究は、皮膚線維芽細胞※2を直接巨核球※3へ分化させ、そこから血小板を得ることに世界で初めて成功した技術を基に、少量の皮膚線維芽細胞から短期間で大量の血小板を作製するための効率的な培養方法や、巨核球から大量の血小板を得るための研究に注力します。

戦略松原P図

※1 iPS細胞:人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)。さまざまな細胞への分化が可能な細胞で、再生医療・創薬への応用が期待されている。体細胞(皮膚組織のものなど)に特定の遺伝子を導入することでiPS細胞へと変化させることができる。
※2 線維芽細胞:皮膚の真皮(表皮の下にある層)に存在し、コラーゲンなどの繊維構造やヒアルロン酸などの保水成分を生み出す細胞。
※3 巨核球:骨髄の中に存在する造血系細胞。直径35~160μmと骨髄中最大の造血系細胞で、血小板を産出する。

エネルギー分野において重要な基盤材料であるセラミックスの信頼性向上と高機能化を目指します。

セラミックスは、磁器やセメント、ガラスなど、我々に馴染み深いものから、電子・光学部品や医療用材料などの高機能なものまで、広い分野で用いられています。特にその耐熱性や放熱性に優れた特性から、燃料電池の多孔質体※1や、パワー半導体※2の放熱基板など、現在注目されているエネルギー分野においても非常に重要な基盤材料となっています。しかし、セラミックスは機械的強度の信頼性が極めて大きな課題として存在しています。本研究では、セラミックス粒界の破壊特性の実測とシミュレーションに基づく微構造設計および先進粉体プロセス※3を融合することで、機械的な信頼性が高い高機能セラミックス材料の開発を実現します。

戦略多々見P図

※1 多孔質体:細かい孔が多数存在する構造体。なお、高温で稼働する固体酸化物形燃料電池の電極や電解質は、ジルコニア系などのセラミックスが用いられる。
※2 パワー半導体:モーター駆動やバッテリ充電など、電源(電力)の制御をおこなう半導体。大電圧・電流に耐えられ、放熱性の高いシリコンカーバイドなどが次世代のパワー半導体として期待されている。
※3 先進粉体プロセス:微細なビーズを用いナノ粒子を粉砕し、高分散化させるビーズミルや、高圧で対抗衝突させ均一分散させる湿式ジェットミルなど、研究代表者が精力的に進める粉体プロセス技術。セラミックスの原料となる無機材料粉末を細かく粉砕し、均一に分散させるなどの粉体プロセスは、高性能なセラミックスを作製する上で非常に重要な工程。

次世代回路素子の融合により、IT機器の消費電力を大幅に削減する新しい集積回路技術を目指します。

パソコンやスマートフォンの発展は目覚ましく、従来不可能だった高性能なアプリケーションが次々と実現し、現在の生活において不可欠なものとなりつつあります。これらは、小さな基板上に膨大な数のトランジスタ等の素子を集積できる、半導体微細加工技術の大きな発展により実現されています。しかし、微細化・集積化が進むにつれて、消費電力の増大が大きな問題になっております。本研究では、近年開発が急速に進んでいる抵抗変化型不揮発性メモリ素子※1などを用いて、集積回路への最適な組込み方法、回路設計を、シミュレーションおよび試作により検討・実証し、消費電力を大幅に削減する技術の実現を目指します。

戦略菅原P図

※1 抵抗変化型不揮発性メモリ素子:強磁性体や金属酸化物を用いた2端子素子。電源を切っても情報を保持できる次 世代の不揮発性メモリとして開発が進んでいる。

インフルエンザウイルスの変異に影響されないインフルエンザ薬の開発を目指します。

現在、新型インフルエンザの大流行が懸念されていますが、インフルエンザウイルスは変異を起こしやすいため、次に大流行するインフルエンザに対し、現在の薬剤が有効であるかは不透明です。しかし、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼというタンパク質は、ウイルスが増殖して生存するのに不可欠で、ほとんど変異を起こさない部位です。このタンパク質の機能を阻害する薬剤ができれば、ウイルスの変異に影響されない治療薬となります。本研究では、RNAポリメラーゼ複合体の詳細な立体構造を基に、これらの作用を阻害する化合物の開発を通して、変異に影響されないインフルエンザに対する創薬開発を目指します。

戦略朴P図

病気に近い状態のモデル細胞を構築し、薬候補物質の効果・毒性等を調べられる手法の開発をおこないます。

新薬開発では、候補となる化合物の効果や毒性などを、細胞を用いて解析・評価する試験(細胞アッセイ)がおこなわれます。多くの候補化合物を調べる中で、細胞アッセイは非常に重要ですが、従来は正常な細胞を用いておこなっているため、実際に病気になっている際の細胞の状態とは異なった環境下で候補化合物を調べていることになります。本研究では、細胞内のタンパク質等を調べられる細胞に病気組織等から採取した病態細胞の細胞質を導入することで「病態モデル細胞」を作成します。この細胞を用いて細胞アッセイをおこなうことで、より病態に近い環境下での各種細胞アッセイを可能にし、創薬開発に拍車がかかります。

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新たなエネルギー生成技術として、非常に効率の高い燃料電池の開発をおこないます。

エネルギー技術は、現在、非常に注目されています。その中で、固体高分子形燃料電池は、常温から100℃で運転できる小型で軽量な発電デバイスで、家庭などで、必要な時に必要な量だけ発電可能です。しかし、現在の固体高分子形燃料電池の開発は、低価格化などに向いてしまい、本来の特徴である小型軽量で高い変換効率の実現に向けた研究があまり行われていません。本研究では、無加湿でも機能するナノ構造で制御した電解質膜と、高電位においても表面酸化されにくい白金複合体触媒を組み合わせることで、高効率な固体高分子型燃料電池の実現を目指します。

戦略P山口

IT機器における消費電力を大幅に削減する新しい集積回路技術の開発を行います。

近年、IT機器による消費電力量は急激に増大し、今後、IT機器の省エネ化はこれまで以上に重要になってくると考えられます。特に最近のパソコン、サーバおよびスマートフォンのような携帯機器などでは、待機時の消費電力が非常に大きくなり重要な問題となっていますが、この待機時の消費電力は、従来の集積回路技術の延長では大きく削減することは難しいと考えられています。本研究では、従来のCMOSロジックでは用いられてこなかった不揮発性メモリ素子とCMOSロジックとの融合によって初めて実現できる不揮発性パワーゲーティングに関する集積回路技術を確立し、既存のシステムに適合し,待機時の消費電力を大幅に削減できる技術の開発を行います。

戦略菅原P

公募概要 

(参考掲載)令和6年度公募は終了しました。

令和6年度公募 要項・様式等ダウンロード

  募集要項

  提案様式

  研究提案書記入上の注意

  募集チラシ

令和6年度公募 概要

   募集課題       1.「基礎科学・計測」、「ナノテクノロジー・材料化学」、「エレクトロニクス・情報技術」、「ライフサイエンス」のいずれか、またはこれらの分野を超えた複合領域に属する研究課題
2.特に、神奈川県科学技術政策大綱(第7期)に定めた基本原則または重点研究目標に合致する研究課題
研究期間令和6年4月1日  ~  令和8年3月31日 (2年間)
事業予算1テーマ 年間1,300万円程度 (人件費等を含む)
応募受付期間令和5年8月7日(月) ~ 8月18日(金)  ※当日消印有効 
応募書類研究提案書 および 主要論文の別刷り等(5件迄) 各1部
  ※提案書様式は本ページよりダウンロードしてください。
提出先〒213-0012
 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1KSP西棟6階
 (地独)神奈川県立産業技術総合研究所 溝の口支所
 研究開発部 研究支援課 後藤・本間 宛
  ※封筒に「提案書在中」と朱書きしてください。

募集要項

1.戦略的研究シーズ育成事業の推進

(1)研究実施場所

・研究活動の実施場所は提案者(採択後は「研究代表者」)の所属機関(以下、「所属機関」という。)とします。ただし、特別な事由により所属機関以外の場所において行うことを想定している場合には予めKISTEC事務局にお問い合わせください。

・本事業がKISTECと連携しながら新たなステージを目指すものであることに鑑みて、研究実施場所は首都圏内に確保してください。

(2)研究実施体制等

・KISTECと所属機関との間で共同研究契約を締結します。なお、申請にあたっては、本要項の内容を理解したうえで、本事業の実施可否について予め所属機関へ確認してください。

・研究代表者は、研究業務から成果のとりまとめ・報告など、研究活動にあたり中心的な役割を果たしていただきます。

・研究代表者は、所属機関の身分のまま、KISTEC所属の専任研究員とともに共同研究を推進していただきます。

・専任研究員は、研究代表者が推薦し、KISTECの規程に従って雇用手続きを行います。KISTECは当該専任研究員との雇用契約に基づいて、本事業予算の中から直接給料を支給します。

(3)KISTEC職員による支援等

・研究活動を支援するため、研究課題毎にKISTEC職員を担当者として配置します。

・KISTEC職員は、担当した採択課題を研究プロジェクト等にステップアップさせるために、進捗状況等を把握します。

(4)知的財産権の帰属

・研究活動により得られた発明等の知的財産権については、原則的に、研究代表者、専任研究員及びその他の発明等をなした者による寄与の割合に応じて所属機関がそれぞれ承継し、持分等の詳細については所属機関とKISTECとの間の共同研究契約に基づいて取り扱うこととします。

・本事業によって得られた知的財産権等に基づいてKISTEC研究事業にステップアップした場合は、当該知的財産権がその後の研究活動、技術移転活動等に支障が生じることがないよう調整させていただく場合があります。

(5)KISTEC研究事業等へのステップアップ

・採択課題をKISTEC研究事業等へステップアップさせるか否かの判断を行うため、研究代表者には本事業の二年度目にKISTEC研究事業の提案書を新たに作成していただきます。

・提案書をもとにKISTEC研究事業へのステージゲート審査を行います。審査の結果、ステップアップすることなく研究を終了とさせていただくことがあります。


2.提案者の要件

研究代表者となる方ご本人から提案していただきます。提案者の要件は次のとおりです。

・自ら研究構想の発案者であるとともに、その構想を実現するためのリーダーシップを持って研究を推進する意思のある、概ね45歳以下の方。

 ※ステップアップ等により研究事業が長期に渡る可能性があるため一定の年齢制限を設けています。

・本事業及びKISTEC研究事業等を通じて、研究全体に責任を負える方。


3.対象となる研究課題

(1)研究の位置付け:目的基礎研究

  ※ 目的基礎研究とは、イノベーション創出が期待できるシーズ創出直後若しくは創出間近の研究段階を示します。

(2)研究課題

  1. 「基礎科学・計測」、「ナノテクノロジー・材料化学」、「エレクトロニクス・情報技術」、「ライフサイエンス」のいずれか、またはこれらの分野を超えた複合領域に属する研究課題
  2. 特に、神奈川県科学技術政策大綱(第7期)に定めた基本原則または重点研究目標に合致する研究課題

(3)期待される効果:採択課題の研究推進により、成果が地域の経済的価値(新産業・新事業)や地域の社会的価値(クオリティー・オブ・ライフの向上等)の創出につながること。

(4)第二期中期計画

 KISTECは神奈川県知事から指示を受けた第二期(令和4年度~令和8年度)の中期目標を達成するための計画(第二期中期計画)に基づいて研究活動を行っています。

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