レーザ肉盛部品のドライ切削に関する研究
●研究期間:平成 29 年 4 月~
●実施場所:海老名本部
●研究担当:事業化支援部デジタルものづくり担当 試作加工グループ
研究概要
最近の金属 3D プリンタには、Laser Metal Deposition (LMD・レーザ粉体肉盛)等の技術で素材を積層造形した後、 同じ機械で切削して形状を仕上げる複合加工機が登場してい ます。これらの機械で効率良く部品を製造するには、切削油 剤を用いずドライで切削することが理想的です。しかし、一 般的にドライ切削には工具寿命悪化等の問題があります。そ こで、LMD による素材の被削性を明らかにし、良好なドラ イ切削のための指針を得ることを本研究の目的としました。 レーザ粉体肉盛装置(図 1)で作製した肉盛材(材質 SUS420J1)に対し、ボールエンドミルによる切削を行い、 工具摩耗等を評価しました。肉盛材切削時の工具の摩耗幅は 一般材(生材)切削時より大きく(図 2)、肉盛材の被削性 は焼入れした一般材に近いことが明らかになりました。肉盛 材のドライ切削をウェット切削と比較すると、同等の加工面 が得られ(図 3)、工具摩耗幅も同程度となりました。したがっ て、ドライ切削でもウェット切削と同等の切削が可能である ことが分かりました。さらに、工具、ホルダ、切削条件を変 更して実験し、良好なドライ切削の指針を明らかにしました。 | ![]() 図1 レーザ粉体肉盛装置 |
図2 ボールエンドミル逃げ面の電子顕微鏡写真 |
図3 肉盛材切削後の加工面の様子 |