最先端無線通信のヘルスケアへの導入に向けた電磁環境に関する研究

●研究期間:令和3年4月〜令和4年3月
●実施場所:海老名本部・北里大学相模原キャンパス
●研究担当:電磁技術部 電磁環境グループ、北里大学 医療衛生学部

研究概要

 近年、低消費電力かつ長距離伝送を可能とする無線通信技術として、LPWAが注目されている。医療現場においては、温湿度管理や医療機器の稼働状態の把握などにLPWAが用いられつつある。特に、COVID-19が蔓延する現代の医療環境においては、非接触でのモニタリングに対する需要は高い。LPWAの代表格であるLoRaWAN(以下、LoRa)は、免許不要であり、最大出力20 mW、日本国内では920 MHz帯を用いて使用が可能である。本研究では、LoRaの医療現場での応用の可能性を検討するとともに、導入に向けた課題を検討したので報告する。

本研究では、遠隔で温湿度と心拍数をモニタリング可能なシステムを試作した。システムは子機(センサ部)と親機(ゲートウェイ)で構成される。子機はLoRaの無線チップを搭載したArduinoベースのマイコンを用いて、温湿度と心拍データを親機へ無線伝送する。親機は受信したデータを外部のアプリケーションサーバ(TTN)と連携させ、遠隔にデータを可視化できる仕様とした。また、LoRa最適な通信パラメータの検討のため、送信時のデータレートおよびペイロードフレーム値を変更させた際のLoRa通信の受信の可否を模擬環境で検討した。

試作したシステムでは、病棟を模擬した同一階のほぼすべての箇所において、親機と子機間で安定した通信が可能であった。データレートとペイロードフレーム値は小さい程、受信の成功率が高い結果となった。

LoRaでは長距離伝送のための周波数拡散技術が採用されているが、拡散率を高めると大容量データの送信はできなくなる。一方センサデータは、2桁の整数値であれば1 byteで済むため、複数のセンサデータを一つの子機が送信する場合でもそこまで大きなデータ量にはならない。今回試作したシステムは医療機器ではないが、自宅やホテル療養などの非医療機関において、簡易的なモニタリングに応用可能であることを示した。

図 試作したモニタリングシステムの概要