樹脂系材料の劣化に対する化学的総合診断への試み -バイオプラスチックへの適用-

●研究期間:令和3年4月〜令和4年3月
●実施場所:海老名本部
●研究担当:化学技術部 バイオ技術グループ

研究概要

1. 研究背景

 樹脂系材料の劣化に関する相談は年間通して数多くいただきます。お客様は、状態分析に加え、劣化原因を究明し、改善策を得ることを期待されています。しかし、個別の評価手法のみでは、状態について限られた評価しかできず、また原因究明は非常に困難です。 
 企業においては不具合対応の間、製造や開発が停止せざるを得ない場合も多いことから、企業が迅速に不具合対応できるよう、樹脂系材料の劣化について、適切な評価・診断手法を総合的に提案・実施し、原因究明につながる情報を提供することが求められております。
 また、近年、低炭素社会の実現に向けた取り組みとして、植物由来原料を活用したバイオプラスチックやリサイクル材の積極的な利用が進められており、これら材料に係る総合的な劣化解析へのニーズは今後高まると考えられます。

 

2. 研究目的、概要

 本研究では、プラスチック部品、塗料など、樹脂系材料の劣化について、原因究明につながる情報を企業に提供するため、種々の化学的手法を組合せて、劣化を総合的に評価、診断する手法について検討します。我々は、これまで、樹脂グレージング材を対象に、樹脂の機械的特性や加水分解性などの化学的性質の違いを考慮して、劣化の各ステージに応じた評価分析手法を選択する必要性を明らかにしてきました。
 今年度は、低炭素社会の実現に資する環境配慮型材料として、今後さらに利用がすすむと予測されるバイオプラスチックのひとつである、ポリ乳酸を対象とします。
 具体的には、ポリ乳酸について促進耐候性試験を行い、一定期間経過ごとにサンプリングし、各劣化サンプルについて、フーリエ変換赤外分光測定、飛行時間型質量分析などの各種測定を行い、状態分析、解析を実施します。
 一連の研究を通じ、バイオプラスチックをはじめとする低環境負荷型材料、樹脂系材料の劣化にかかわる試験計測技術の一層の充実をはかっていきたいと考えています。

促進耐候性試験機

1 促進耐候性試験機
 (右:サンプル設置の様子)

劣化サンプル写真

2 劣化サンプル(ポリ乳酸)写真