令和2年度経常研究テーマ一覧

1 機械・材料技術部 超微細多結晶CBN工具を用いた鏡面加工に関する研究 高精度を要求される光学レンズ金型をはじめとする精密金型の最終仕上げ加工では、鏡面に仕上げる必要がある。従来の単結晶CBN工具より高強度かつ高硬度な超微細多結晶CBN工具を用いることで、難削材(焼入れ鋼、チタン、耐熱合金等)の鏡面加工に有利なことが推測される。本研究では機械加工による鏡面加工の高能率化・高精度化・高品質化を実現するため微細多結晶CBN工具を使用し、その可能性を追求する。今年度は昨年度に引き続き、研削加工性能の評価を行う。工作物に高速度工具鋼(SKH51,64HRC)を用い、超微細多結晶CBN砥石と一般CBN砥石の寿命試験を行い、生産現場で使用する際に指標となる性能を評価する。
2 機械・材料技術部 流体潤滑(HL)領域で摩擦した炭素系硬質薄膜(DLC膜)の摩擦特性に及ぼす表面状態の影響 ハイブリッド車(HV)等の環境対応車両におけるエンジン摺動環境では、特に高回転数側である流体潤滑(HL)領域における超低摩擦(摩擦係数0.01以下)発現と環境性能向上の両立は重要な課題である。これまでに炭素系硬質薄膜(DLC膜)の摩擦特性について、①生分解性エステル系油剤および平滑な水素フリーDLC (ta-C)の組合せで潤滑性能が高いこと、②生分解性エステル系油剤は超低摩擦を維持し、水素含有DLC(a-C:H)とta-Cでは油剤の効果が異なることを明らかにした。本研究では、摩擦前後の試験片での表面観察や表面分析の変化から、HL領域で摩擦したDLC膜の摩擦特性に及ぼす表面状態の影響を評価する。
3 機械・材料技術部 計算材料科学の最新動向に関する調査研究

近年、計算機性能の飛躍的な向上により、第一原理計算、計算状態図法、フェーズフィールド法などのいわゆる計算材料科学を活用した材料開発が急速に進展している。さらに最近ではAI技術を活用したデータ科学の発展により、いわゆるビッグデータの解析と計算材料科学とを統合した革新的な速度での材料開発がマテリアル・インフォマティクスと称され現実味を帯びている。本研究は、計算材料科学が工学的により広く普及するであろう近未来を見据えて、これらを活用した材料設計技術の最新動向について詳細に調査するとともに、KISTECが先導すべき地域の製造業の競争力強化に対してどのように活用できるかを考察し、来年度以降の具体的な活動指針を得ることを目的とする。

4 機械・材料技術部 デジタル画像相関法解析ソフトウエアの開発 製品開発や故障解析では、荷重下におけるひずみ分布を基に検討する必要がある。しかし、古くから用いられているひずみゲージ法で、ひずみ分布を測定するには、多くのゲージと多チャンネルに対応した装置が必要であり、容易にひずみ分布を収録することは難しい。一方、画像相関法は特別な装置を用いずに荷重を負荷する前と後の画像を収録することで、視野範囲のひずみを測定することができる。現在開発している画像相関法のプログラムは、画像処理のプログラム等の工夫でひずみ測定の精度向上に関する検討を実施し、製品開発や故障解析で活用するアプリケーションを開発している。
5 機械・材料技術部 加熱による透明導電酸化物ナノ粒子膜の不可逆的光学特性変化に関する研究 熱処理プロセスにおいて熱電対の使用が困難な場面では、示温ラベルを用いて最高到達温度を記録するという温度管理が行われている。しかし電子部品の高耐熱化の進展に伴い、熱処理温度も示温ラベルが使用できない高温で行うものが増えてきている。さらには多段階の熱処理工程を管理するニーズもあり、高温で使用可能で多機能な温度記録材料の開発が求められている。我々はこれまでの研究で、透明導電酸化物ナノ粒子膜を加熱したときに生じる不可逆的光学特性変化が、波長により異なる振る舞いをすることを見出してきた。本研究では透明導電酸化物ナノ粒子膜への他元素添加などにより、光学特性変化が異なる材料を開発し、温度履歴の多様な情報を引き出す方法を検討する。
6 機械・材料技術部 異形試料の平板ゼータ電位 当所が保有しているゼータ電位・粒径測定システムは、平板サンプル表面のゼータ電位を評価することができる。ただし、サンプルの性状には制限があり、全面が均一で目視レベルの平坦性が求められ、かつ絶縁性も必要である。しかしお客様から提供される実サンプルが、必ずしもそのような理想的性状をもつとは限らず、理想的条件から外れた時に何が起きるのか見極めておくことは重要であるため、いろいろな異形試料を作製して検討することにした。
7 機械・材料技術部 近赤外遮蔽特性を有する化粧品用顔料の開発 太陽光に含まれる紫外線が肌の炎症や、シワ・シミといった光老化をもたらすことは一般によく知られている。そのためこのような作用を持つ紫外線から肌を守る紫外線防止化粧品が各メーカーから販売されている。ところが近年は紫外線だけでなく、肌のより深層まで到達する近赤外線も光老化の原因となることが指摘されており、近赤外線遮蔽性を付与した化粧品も見られるようになってきた。本研究では化粧品用無機顔料として広く用いられる酸化亜鉛をはじめとした酸化物粒子を液相合成法により作製し、粒子の形状や大きさを制御することで市販品よりも高い近赤外遮蔽特性を示す材料の開発を目指す。さらに生体適合性の付与を目的とし、作製した粒子表面へのコーティングも併せて検討する。
8 機械・材料技術部

アルコキシド法によるポーラス・ナノ材料の作製と評価

金属アルコキシドとはアルコールの水酸基の水素が金属で置換されている化合物の総称であり、これを原料に用いた液相反応で無機粒子を簡便に合成することができる。本研究では、代表的な金属アルコキシドであるSiアルコキシドやTiアルコキシドから、新規性の高いポーラス・ナノ材料を得ることを目的とする。
9 機械・材料技術部 ねじの緩み評価試験の実用化検討 ねじの緩み・脱落は時に重大な事故を引き起こすことから、緩み防止機能を高めた様々なねじ製品が開発されている。ねじの緩み評価試験のひとつであるNAS振動試験については、M8ねじを対象とした昨年度の研究から、既設の振動試験機を活用することで評価試験が可能であることが検証できた。そこで、本研究では、振動試験機を用いたねじの緩み評価試験を新たな試験計測サービスとして提供できるようにすることを目的に、その実用化に向けた取り組みを進めることにした。具体的には、実用化において課題と考えられる呼び径の違うねじへの適用や試験治具の寿命について検討を行う。
10 機械・材料技術部 多孔質材料内の空気伝搬音特性予測モデルの検証 家電や産業機械をはじめ様々な機器に対して、低騒音化の要求は高い。低騒音化対策に用いられる吸音材の評価は、これまで当所では、実測定によって行っていた。本研究では、複数の予測モデルを用いて、吸音材料表面での音波の反射を規定する特性インピーダンスや、吸音材内部での音波の減衰量を表わす伝搬定数を求め、計算結果を検証する。この二つの値から垂直入射吸音率を計算によって求めることができるので、音響管計測の活用法が大きく広がり、理論予測に基づく吸音材の特性評価が可能となる。
11 機械・材料技術部 生体IoTデバイスによる2型糖尿病の把握と生活習慣改善へのフィードバック 2型糖尿病は食生活の欧米化や運動不足などにより近年増加の一途をたどっている。治療の基本は食事療法と運動療法であるが、患者本人による食事内容や運動等の生活習慣の改善は簡単ではない。血糖値変動をリアルタイムに計測可能なセンサーを用いながら、2型糖尿病患者本人が食事や運動といった生活習慣のパターンの内容と実際の血糖値の関係を知ることにより、日々の生活習慣を改善・見直していくことをサポートするシステムの検討を行う。
12 機械・材料技術部 機器分析手法選択の判断基準となる比較データの取得 様々な電気製品に用いられる電子基板は年々と小型・高密度化し、また実装される電子部品も様々な高性能なものが開発され、その接続方法も多種多様化している。従来においてもその接続方法の一つであるBGA接合部の品質確認にはX線が使用されることがあったが、明確な品質基準や規格も無いため、得られたX線画像のどの部分をどのように判断してよいか当事者の感覚に頼るしかないのが現状である。本研究はX線によるBGA接合部の品質確認を容易に識別・判断できるようにすることが目的であり、BGA接合部の状態と実際の接続強度を比較し、相関を求めるものである。
13 機械・材料技術部 高エネルギー光による光化学反応を利用した薄膜形成 製品の故障や不具合に関わる機器分析においては、どの分析法を用いることが最適であるのか必ずしも明白でないケースがある。これまでは各分析装置の特徴や経験に基づいて分析法を選択してきたが、その裏付けとなる具体的な比較データの整備は必ずしも十分とは言えなかった。そこで、本研究ではこうしたケース毎に複数の分析法を適用し、各分析法から得られた情報を比較、検討することによって、最適な分析法を判断するための土台となる比較データを整備することを目的とする。また、得られたデータを利用者の参考になるようHP上で提供することを検討する。
14 機械・材料技術部 高エネルギー光による光化学反応を利用した薄膜形成 溶液プロセスを用いた薄膜形成法は、低コストで簡便な方法として知られる。しかし、緻密な膜を形成するためには、一般に、基板上へ塗布した膜に対して高温での熱処理を要する。近年、柔軟性の付与や軽量化の実現、耐候性、防汚性、耐擦傷性やガスバリア性の向上などを目的として、プラスチックへの機能性薄膜の形成が注目されている。しかし、プラスチックは耐熱温度が低いため、形成プロセス温度の低温化を実現しなければならない。本研究では、酸素がエキシマ光を吸収することにより生成する励起酸素原子やオゾン等の強い酸化力を利用して、酸化シリコン膜の低温での形成を試み、形成した膜の組成,化学構造や多孔性、密度等を調べることを目的とする。
15 電子技術部 直流磁歪特性に測定磁界強度の掃引時間変化が与える影響についての検討 軟磁性材料はモータやトランスなど鉄心材料として広く利用されているが,磁化されると形状に僅かな変化(磁歪現象)が起きて振動や騒音の発生が問題となっている。そのため,最適な鉄心材の選定の要因の一つとして磁歪特性の評価が求められている。本研究では,磁歪測定における磁界強度の掃引時間が特性に与える影響について検討する。
16 電子技術部 Ltspiceを用いたパワーデバイスの電気-熱 連成解析 パワーデバイスは大電流・高電圧で動作することから、発熱が大きく動作時のデバイスの温度管理が重要であるが、これには実測とシミュレーションによる解析が必須である。熱過渡解析によって構造関数から放熱経路の熱回路の情報を取得できることから、これを用いてパワーデバイスの熱設計・シミュレーションを行うことが可能である。
本研究では、当所の熱抵抗測定システムによって測定した構造関数から放熱経路の熱抵抗・熱容量の計測値を用いて、LTspice上で電気-熱連成解析によるパワーデバイスの温度解析行う手法について検討する。さらに本手法によるモデルを拡張して3DFEMによるパワーサイクル試験時のシミュレーションを行い、実測値と比較してモデルの妥当性を検証する。
17 電子技術部 超音波映像装置による微小構造物の音速測定に関する研究 超音波映像装置により、1mm未満の微小構造物を精度よく音速測定することが求められているが、測定精度について十分わかっていない。そこで、本研究では、Si、ガラスなどの典型的な材料について、測定領域内(水槽内)の温度条件を25℃から最大50℃程度まで変えて音速測定することにより、音速測定値の温度依存性を調査する。これにより、10%以内の高精度で音速測定できる測定条件について明らかにする。
18 電子技術部 微小発熱体を有する熱型風速センサ―構造の作製 IoT化が進むにともない、センサデバイスの重要性が増すとともに、小型化・省電力化の要求が高まっている。本研究ではMEMSセンサーの一つの熱型風速センサーについて、抵抗体の小型化を図ることで感度向上・低消費電力化を狙う。白金抵抗体の線幅が数百ナノメートルレベルの熱型風速センサーの試作を行う。白金抵抗体のパターン形成は電子線描画装置を利用して行う。
19 電子技術部 金属材料と磁性材料を2層構造としたノイズシールド材料のメッシュ構造化に関する検討 近年、電力需要の多様化に伴い、急速に利用が拡大しているパワーエレクトロニクス機器は通常の電子機器に比べkHz帯域からMHz帯域までの大きな広帯域ノイズを発生する。これらのノイズを遮蔽するため、これまで広帯域特性と軽量を合わせ持つ金属材料と磁性材料を2層構造としたシールド材料について検討を行ってきた。本研究では更にこの2層構造シールド材に通気性を持たせるため、シールド材料のメッシュ構造化について検討する。
20 電子技術部 ミリ波帯送信器の測定技術の検討 近年、周波数の枯渇化・無線技術の進化に伴い、第5世代移動通信システムや衝突防止用レーダなどでミリ波帯が利用されており、今後、ミリ波帯の需要増加が見込まれる。一方、KISTECにおいては、ミリ波帯の測定器は非常に高額であることから、マイクロ波帯までの測定器しか有しておらず、ミリ波帯への対応が急務な状況である。本研究では、製品開発向けに販売されている廉価なミリ波帯の部品と信号処理技術を用いて、ミリ波帯送信器を開発する。さらに、昨年度開発した受信器と組み合わせて、ミリ波帯の測系を構築し、アンテナ特性評価や材料定数測定などの測定技術への応用を検討する。
21 電子技術部 安価に医療現場の電磁環境を簡易的に評価する手法の検討 近年、医療現場では様々な無線通信(電波利用)が用いられている。一方、安心かつ安全な無線通信の利用においては、電磁両立性の確率が必須である。そのためには、電磁干渉の把握・原因追及等の面で電磁環境評価の需要が高い。しかし、専用測定器は高価でかつ専門的知識が必要な物も多い。本研究ではSDR(Software Defined Radio:ソフトウェア無線)を用いて、安価に導入が可能でかつ、医療従事者が簡便に使用可能な電磁環境評価方法を提案し、そのシステムの構築と評価をおこなう。
22 電子技術部 LiDARを利用したセンシングシステムの検討 光によるリモートセンシング技術のLiDAR(Light Detection and Ranging)は、その精度の高さから、自律移動ロボットのキーデバイスとして注目されている。しかし、産業用途が主であるため、利用するためのハードルの高さが課題となっていた。そこで、今回、比較的安価に入手可能なLiDARを利用した室内マッピング等について検討を行う。
23 情報・生産技術部 三次元座標測定におけるスタイラス延長シャフトの測定精度への影響 製造業において、加工品の寸法を測定する手段は種々あるが、多くの場面で三次元座標測定機が利用されている。三次元座標測定機は測定物に接触子を接触させ測定を行うが、測定物の大きさに合わせて、接触子を選択する。本研究では、接触子の選択が測定精度にどのような影響を与えるか調査する。
測定物が大きい場合や測定点が奥まったところにある場合、接触子に延長シャフトを結合し、測定範囲を延長する。本研究では、シャフトの長さと精度の低下の関係を調査する。調査方法は、真円度の高いリングゲージを縦置きし、各種延長シャフトを利用して測定した結果を比較し、長さや材質による測定結果への影響について検証する。
24 情報・生産技術部 座面板に使用される木質素材の強度性能 近年は座面の意匠性を特徴とした集成加工された座面がみられる。当所の依頼試験でスツールの座面の強度を測定する事例も多い。構造物に対する試験であり、座面の強度だけを調べる試験ではないが、座面を支える脚や座枠などの接続位置により座面に多くの荷重がかかる場合も想定される。座面そのものが強度的に優れていないと、破損による転倒事故などに発展する可能性がある。これらの危険性を低下させるため、試験条件として素材のサイズや接着材の種類などを設定し、それぞれが強度性能に与える影響を破壊試験により明らかとする。
25 情報・生産技術部 金型寿命向上のためのシミュレーション技術と予防保全に関する研究 プレス加工や曲げ加工における金型において、割れや摩耗は、生産性の低下だけではなく、大きな事故を招くこともある。そのため、金型設計では型寿命を考慮した設計、作業現場では金型の適正なメンテナンスが必要とされる。近年において、金型の高寿命化および適正な予防保全を行うのためのシミュレーション技術が求められている。パラメータ設計とトポロジー最適化のシミュレーションツールを用いて金型の高寿命化(割れにくい)と寿命予測を行い、得られた情報を予防保全の方式に取り入れる。金型の高寿命化と適正な予防保全を行うのためのシミュレーション改善技術を開発し、加工現場の技術者へ提供する。
26 情報・生産技術部 レーザ照射によるLMD肉盛層の組織制御 レーザ粉体肉盛溶接(Laser Metal Deposition: LMD)で多層溶接を行った高速度工具鋼などの肉盛層は、場所により硬さが変動する。これは先行パスが後続パスにより熱影響を受けるためである。この熱影響の程度は最高到達温度や熱履歴の繰り返し度合いにより異なる。また、高速度工具鋼の肉盛層は焼戻し熱処理で溶接ままよりも硬化させるために溶接後に別工程で炉内熱処理を行うが、製造コストの上昇や製作期間が長くなる要因ともなっている。本研究では、LMDにより肉盛溶接を行ったのちに、同じLMD装置で粉末を供給せずにレーザの照射による肉盛層の再溶融処理を施すことにより、内部組織を均質化させ、硬さの変動を抑制し、更には硬さが硬化および軟化される熱処理手法の開発を目指す。
27 情報・生産技術部 IoTデバイスのデータ蓄積手法に関する研究開発 近年、IoTやIndustrie 4.0を背景に、産業分野においては装置の故障予知などが期待されている。複数のIoTデバイスを用いる場合には、データ活用に適したセンサデータの取得・蓄積手法や異なるデバイスの時刻同期の精度把握が重要になってくる。本研究では、Time Sensitive Networking (TSN)の規格に関連しているPrecision Time Protocol(PTP、IEEE1588)による時刻同期を実装したIoTシステムを開発する。具体的には、音や加速度などのセンサデータをサーバに送信するIoTデバイスを開発し、工場内のデータ蓄積に適した時系列データベースをサーバに実装し、これらにPTPを実装する。
28 情報・生産技術部 光造形方式3Dプリンターの精度に関する研究 近年の3Dプリンターは使える素材や材料が増加し、造形の精度が上がるなど改良され、用途が広がってきている。しかし、3Dプリンターで出力した造形物は素材特性が異なるため、量産品として検証ができる素材はまだ少ない。けれども依頼者は、より量産品に近い素材で造形し、試作検討できることを望んでいる。当所に保有している(ProJet MJP 5500X)の柔らかい素材エラストマーライクによる造形依頼が増え、さらに多様な要望そのために、弾性を有し、複数のゴムライクの造形が可能な超軟性造形対応光造形3Dプリンター「M3DS-SA5/4KHi」を昨年度末に導入した。光造形方式に関する知識や機器、素材特性を把握し、今後の企業支援に活用する。
29 情報・生産技術部 3Dプリンター(樹脂)で製作される造形物の二次加工について 当所の3Dプリンターは、試作品や治具の製作等といった企業支援に活用されている。出力される造形物は、どのような二次加工が可能なのか、二次加工のために何が必要なのか、今後の企業支援に活かすために把握されていない造形物の二次加工について調査を行う。
30 情報・生産技術部 NCフライス加工機の異常診断AIシステムの開発 NCフライス加工機での切削加工において、効率よく加工をするためには異常停止を減らすことが重要になっている。本研究では、高価なシステムを使用せずに、加工機から取り出せるデータと電流センサで異常診断を出来るシステムの開発を目的とする。具体的には、切削加工の各種の条件と加工面粗さ、工具の摩耗などのパラメータを用いて、機械学習などのAIを用いた方法やMT法などの統計的処理から、適正な加工条件や折損などの異常が起こる要因を推測していく。
31 化学技術部 日本酒の「上立ち香」「含み香」の分析方法の検討 「上立ち香」「含み香(口中香)」といった 人が飲酒時に感じる香気を、機器分析で客観的かつ再現性良く評価する方法を開発する。
32 化学技術部 樹脂系材料の劣化に対する化学的総合診断への試み(2) プラスチック部品、塗料など、樹脂系材料の劣化に関する相談は、年間通して数多く寄せられる。適切な評価・診断手法を提案・実施し、原因究明につながる情報を提供することが求められている。一方、単一の分析手法による結果から得られる情報は限られている。このような背景から、本研究では、種々の化学的手法を組合せて、劣化を総合的に評価、診断する手法について検討し、樹脂系材料の劣化にかかわる試験計測技術の充実をはかることを目的とする。本年度は、加工材料としてよく使用され、紫外線劣化、変色などが問題となりやすい、ポリメチルメタクリレートを対象として促進暴露試験を行い、各種分析手法による評価、解析を行う。
33 化学技術部 線虫を用いた簡便な食品の抗酸化性・抗糖化性評価手法の開発 本研究は、機能性食品開発における食品の機能性スクリーニング法として、簡便な生体での抗酸化性・抗糖化性評価手法の開発を目的とする。食品の抗酸化性・抗糖化性評価は、機能性食品開発における重要な機能性評価項目である。これらはまずin vitro試験で評価を行い、効果のあるものについては更にin vivo試験で評価を行う。一般的なin vivo試験はマウスやラットを用いるためハードルが高いが、本研究では線虫を用いることで、低コスト、短時間での実施が可能となる。また開発する評価手法は、マウス・ラットを用いた評価へ進む前段階として利用することで、機能性食品開発におけるリスクを低減することができる。
34 化学技術部 粘弾性測定における塗り心地の定量化検討 クリームの塗り心地は、人の感覚によって評価されているが、官能評価用語のあいまいさや個人の嗜好の違いが問題となっている。このため化粧品や食品などのソフトマテリアルを扱う企業では、より客観的な評価方法を求めている。評価方法のひとつに粘弾性測定があるが、クリームに大きな変形を与えた時に現れる非線形粘弾性(NLVE)を考慮していない。これまでの研究で、NLVE解析からゴムのカーボンブラック配合比やポリマーの違いを評価する方法を見出した。本研究では、ゴムよりもさらに柔らかいクリームのNLVE挙動に対応する解析方法の検討を行い、質感や伸び具合の評価指標として応用の可能性を検討する。
35 化学技術部 らせん状多糖類の分子認識能の探索 らせん状の多糖類であるアミロースは環境にやさしいバイオベースポリマーであり、らせん構造内部の空隙に特定分子を包接することが可能である。分子鎖一本が包接可能な分子の数は他のホスト分子に比べて多く、アミロースは特異分子を局地的に濃縮して担持することができると言える。そのため、分子センサーの感度の向上やドラッグデリバリーシステムの放出する薬物の増大などが期待できる。しかし、新たに開発された薬剤や微量で有害な物質の分子認識能は未だ明らかになっていない。そこで本研究は、アミロースと様々な物質を混ぜ合わせ、複合体を形成させることで認識可能な分子の網羅的な探索を行う。
36 化学技術部 電気分解によるオゾン生成の基礎研究 オゾンによる殺菌効果を期待した電解オゾン水生成器において、電気分解に供する水質がオゾン生成にどういった影響を与えるのかを調べる。
37 化学技術部 環境因子がプラスチックの破壊挙動に及ぼす影響 プラスチックは、軽量性・成型性をはじめとする優位性から、構造材料としての需要が高まっているが、破損トラブルも絶えない。プラスチックの破損メカニズムとして、応力だけでなく、応力と環境因子(薬剤、光、温度、水分等)が複合的に作用することが知られているが、詳細は明らかになっていない。破断面の形状観察から破損に至る経緯を推察する破面解析が、 トラブル対策手段として期待されている。
本研究では、環境劣化させたプラスチックや、環境応力亀裂を生じたプラスチックの、破損挙動と破断面の形状との対応事例を蓄積することを目標とする。
38 化学技術部 針葉樹樹皮の含有成分の抗酸化活性の評価

植物成分は、食品の酸化防止剤として産業利用されているものがある。国内の人工林は、針葉樹が大部分を占めておりその資源供給可能量は多い。しかしながら、利用の際に排出される樹皮等の林産廃棄物が問題になっている。本研究では樹木成分の利用拡大を目的とし、針葉樹樹皮に含まれる成分の抗酸化能の評価試験を行う。

39 化学技術部 酸化反応に起因する発火危険性の評価手法の検討 有機物の酸化、発熱によって,発火や火災が生じる事故が発生している。これら発火事故の解析や対策を検討するには、有機物の発火に至る挙動の開始温度となる環境温度から発火に至るまでの挙動を解析することが、物質の取り扱い温度の決定や安全対策のためにも重要である。そこで、初期の酸化発熱から発火に至る挙動を評価するために、種々の熱分析装置を用いて評価を行い、発火危険性評価方法の構築をめざす。
40 化学技術部 熱分解GC-MSによる高分子分析法の検討 熱分解GC-MS分析は高分子材料の主成分だけでなく残留溶媒や添加剤などの構成成分に関する情報も得られることから、高分子材料の分析・解析において有効な分析手法である。本研究では、熱分解GC-MSによるポリアミドやエポキシ樹脂などの高分子材料について反応熱分解法の検討を行い、構造解析に資する情報を得るための分析条件の最適化を目的とする。今年度は、エンジニアリングプラスチックとして様々な用途に用いられているポリアミド樹脂についての検討を実施する。
41 化学技術部 開回路電位近傍における電極電位・電流挙動に関する研究 腐食の電気化学測定を行った際、測定結果に理論式を当てはめて解析することにより、金属の腐食速度を計算予測する方法が知られている。初年度は、その当てはめに用いる各種パラメーター(反応価数、電極電位範囲、絶対温度など)が計算予測の確度に及ぼす影響について理論的に検討した。2年目は実際に電気化学測定を行い、理論と実測結果について相互に比較検討を行う。
42 化学技術部 六価クロム分析用水道水標準物質の開発に関する研究 水道法では、水道水の安全確保と生活利用上の観点から、51項目の水質基準が定められている。2020年4月に水道法が一部改正され、六価クロム化合物の水質基準が0.05mg/Lから0.02mg/Lに強化された。水道水中の六価クロムはJISK0102工場排水試験方法に記載されているジフェニルカルバジド吸光光度法で分析する。六価クロムの分析結果の正確さを評価するためには標準物質が必要不可欠であるが、六価クロム濃度が付与された水質標準物質はいまだにない。本研究は六価クロム分析用の水道水標準物質を開発することを目的としている。
43 化学技術部 写像性評価の有用性に関する検討 製品表面のつや感を評価する方法として、従来から光沢、ヘーズなどが用いられてきた。しかし、つや感が異なると目視で感じる表面状態でも、同程度の光沢度やヘーズ値を示すことがある。物質表面に写った像の鮮明度を評価する指標として、写像性、像鮮明度があり、つや感に大きく寄与すると考えられている。塗装、樹脂、金属、紙など、様々な表面質感を持つ試料について、光沢、ヘーズの測定結果と写像性(像鮮明度)などの表面特性の測定結果を比較し、物質の表面状態を評価するための指標として、写像性測定の有用性を検討する。
44 化学技術部 ドローンと画像解析を利用した高品質な酒米の栽培支援システムの構築 日本酒の需要が高まり、高品質な酒米の生産拡大が求められている。栽培管理は現状、目視確認と勘、経験に頼っている部分が大きい。そこで、ドローンで圃場を空撮した画像を解析する技術を活用して酒米の生育を数値化し、全圃場の栽培管理に役立てる技術を開発する。
45 川崎技術支援部 光触媒反応や電解反応における簡便な活性酸素生成量測定法の開発 ①背景:光触媒材料の環境浄化性能評価法として、JISに活性酸素生成能力測定法が定められている。しかし、この方法は、大面積の試料や煩雑な測定装置を必要とし、実用的な評価方法としては課題が多い。
②目的:より簡便な活性酸素生成能力評価方法を開発する。
③実験内容:活性酸素と反応して生成する化合物の濃度を、in situかつリアルタイムに測定できるよう、分光機器を組み合わせたポータブルなシステムを構築。既存のJIS試験法と比較し、優位性をあきらかにする。
46 川崎技術支援部 光触媒の性能向上のための基礎研究~比較試験片の作製~

①背景:光触媒のJIS試験方法の課題として、複雑な評価法でありながら、標準的な試験片がなく、評価ばらつきと試料のばらつきの区別がつけづらく製品開発の妨げになっている。また、業界が原料-ブレンド-加工に分類されており、最終商品における性能要因に及ぼす因子が把握しづらい。
②目的:光触媒のJIS評価試験用の比較試験片の開発に取り組んでいる。比較試験片の開発により評価精度の向上を目指すともに、光触媒製造プロセスにおける性能低下要因の把握や、耐久性能の低下要因の解析も可能とする。
③実験内容:比較試験の作成⇒比較試験片の材料組成を確認し、評価安定性との相関を把握する。⇒耐候試験を実施し、耐久性能を把握する。

47 川崎技術支援部 ペロブスカイト結晶・太陽電池セルの成分分析結果と発電性能の比較 ペロブスカイト太陽電池は酸素、水分、熱、紫外線等により劣化が進行するといわれているが、そのメカニズムはあまり明確にはされていない。各種劣化試験と成分分析を実施し、劣化要因と成分の変化を関連付ける。