造血幹細胞医療革新プロジェクト

 造血幹細胞移植は、悪性造血器腫瘍をはじめとする難治性の血液疾患を根本から治すことのできる医療です。移植に適した造血幹細胞を安全に増やし、質の高い細胞を潤沢に準備できるようになれば、より多くの患者さんに、より安全で効果の高い移植医療を届けられるようになり、さらには新しい治療法へと発展していくことが期待されます。本プロジェクトでは、私たちが独自に同定してきた、体内に存在し造血幹細胞を増やす働きをもつ内在性の因子や関連する知見を活かしながら、新たな造血幹細胞医療の構築をめざして研究開発を進めます。

期間

  • (戦略的研究シーズ育成事業)「内在性因子による造血幹細胞増幅法の開発」 2024年4月~2026年3月
  • (有望シーズ展開事業)「造血幹細胞医療革新」プロジェクト 2026年4月~

実施場所

国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所

研究の背景と目的

 造血幹細胞移植は、白血病などの造血器腫瘍をはじめとする難治性の血液疾患に対して、失われた造血を根本から回復させることのできる治療法です。しかし、移植に用いることのできる質の高い造血幹細胞は限られており、体外で安全に増やすことも容易ではありませんでした。「移植に使える細胞をどれだけ確保できるか」が、どんな患者さんに治療を届けられるか、そしてどれだけ良い結果につなげられるかを、大きく左右してきたのです。

 私たちは、体内にもともと存在し、造血幹細胞を増やす働きをもつ内在性の因子を独自に見出しました。本プロジェクトでは、この因子を活用して造血幹細胞を安定して増やす技術を確立し、より多くの患者さんに、より安全で効果の高い移植医療を届けること、さらには次世代の造血幹細胞医療へと発展させることをめざします。

研究内容

内在性の因子を軸に、以下の3つの方向から研究開発を進めます。

1.造血幹細胞を増やす培養法の確立と最適化

 内在性の因子を基盤とした培養法をさらに改良し、移植に適した造血幹細胞を安定して増やすための条件を探索します。培養の前後で細胞の状態を遺伝子レベルまで詳しく調べ、有効な因子や条件を効率よく見つけ出すことで、より高い増幅効果と再現性の両立をめざします。

2.増やした細胞を活かす新しい治療法への展開

 安定して増やせるようになった造血幹細胞は、遺伝子を導入して機能を補う遺伝子治療など、新しい治療法の「元手」としても大きな可能性をもっています。増やした細胞を基盤とすることで、これまで細胞数の制約から難しかった治療の設計にも道を開くことをめざします。

3.移植した細胞の生着を高める手法の開発

 増やした造血幹細胞が体内で確実に根づき(生着し)、造血を速やかに再構築していく過程に着目します。移植後の生着から造血の回復に至るまでの過程を詳しく解析することで、移植成績のさらなる向上をめざします。


研究員一覧 (氏名 /職制/ 本務所属機関)

  • 田久保 圭誉 / プロジェクトリーダー / 国立健康危機管理研究機構 国立国際医療研究所
  • 常勤研究員 1名 / 非常勤研究員 3名 (順次公開予定)