新年のご挨拶

 新年、明けましておめでとうございます。
 旧年中は格別のご厚情を賜り、心より御礼を申し上げます。

 2025年は、AIや量子コンピューターの応用技術の急発展や細胞工学に再生医療の著しい展開など、先端技術は大変な速度で進展しました。ほんの数年前まで一般社会では想像もされなかったことでしょう。宇宙産業や新交通社会システムなどもこれに続き、新しいビジネスチャンスに溢れているように見えます。県下の中小企業に波及してくるのも時間の問題でしょう。産業技術的の観点からも新しい時代に備えなければと襟を正すところでございます。
 一方で、技術の進歩はサイバーセキュリティーの危機など負の側面を生み出すことも看過できません。多様な世界で複雑化する国際政治経済の諸問題も科学技術の急速な進展に連動していないとは言えないと思います。こうした世界情勢にあって科学技術や社会経済における国力衰退への懸念など、まさに内憂外患の様相が顕在化しつつあるように見受けられます。

 こうした激変する社会産業情勢と科学技術動向の最中にあって、KISTECも自ら変わらなければ県下産業への貢献どころか自身の現状維持すら難しくなることを認識して、「下町のフラウンホーファー」改革を職員からのボトムアップで提案され、改革室を設置して役職員一丸となって推進しております。

1)研究力の一層の向上、
2)標準計測機能の一層の拡充、
3)ソリューション機能の強化、
そして4)運営から経営へと、

 この四つの戦略をもとに、2025年春から改革への舵を切りました。また、KISTECは全国の公設試唯一大学の研究をステージゲート方式で長期間支援しておりますが、それは同時に大学の研究力を身近に備えているとも言えます。光触媒やマイクロ流体技術、ナノフォトニクスなど、旧KASTを含むKISTECの技術として一定の市場と産業技術分野を開いてきた例もございます。この強みを認識して、大学の先生方と所員の研究発表交流会などそれを効果的に活かすチャレンジも始めました。

 この改革の実現には、地方独立行政法人への転換で与えられた自由度を最大限に活用することが肝要で、これまでの年度予算有効活用に特化した「運営」はもとより、市場=顧客技術ニーズ=産業要請の中長期的な動向を見据え、メリハリを効かせた資源の選択と集中や、原価を意識したコストエフェクティブな判断に基づき、技術的にも財務的にも明確なゴールを目指した「経営」が必要不可欠になります。四つ目の戦略「運営から経営へ」は、KISTECの長い歴史にあって経験してこなかった領域で、この2026年、意識改革も含めて改革室を中心に役職員一丸となって取り組む所存にございます。

 そして必ずや神奈川県下の中小企業を始めとする産業界全般に貢献できると確信して、役職員一丸となって取り組んで参りたいと存じます。どうぞ忌憚の無いご指導とご支援を賜りますよう、お願いいたします。

 私どもの取り組みをご紹介しつつ、本年が皆様方にとりまして一層良い年となることを心から祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

令和8年1月
  地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所
理事長 北森 武彦