研究者、技術者のための応用数学【オンライン】~科学、工学に活かす数理的思考~

開講期間

令和3年 12月 1日(水), 2日(木), 8日(水), 9日(木)
※計4日間、各日選択可(各編をお好きな組み合わせでご受講いただけます)
※各日10:30~17:00

開催方法

ZOOMを利用したオンライン開催です。受講要項をご確認の上、お申込みください。
≫PC、スマートフォン、タブレットでもご受講いただけます。
≫ご受講書類・テキストは、お申込みいただいたご住所宛に事前に郵送いたします。

※ご自宅や職場でのオンライン受講が難しい場合、弊所会議室でのご受講も可能です。詳細はご相談ください。(若干名)
※オンライン受講に関するご不明点がございましたら、お気軽にご相談ください。

カリキュラム編成者/講師

水藤 寛氏 東北大学 材料科学高等研究所 教授・博士

講師

齊藤 宣一 氏 東京大学 大学院数理科学研究科 教授・博士

長山 雅晴 氏 北海道大学 電子科学研究所
附属社会創造数学研究センター 教授・博士

義永 那津人 氏 東北大学 材料科学高等研究所/
産業技術総合研究所 数理先端材料OIL 准教授・博士

募集人員

12名 *先着順

*少人数制のため、お早めにお申し込みください。

対象者

主に、企業の開発現場や研究部門にご所属で:

▶ 業務の中で様々な数理モデルに出会い、その基盤となっている数学を学ぶにはどうしたらいいのか困っている方
▶ 開発現場で、数理モデルのまだない現象に出会い、どうやって作ったらよいか困っている方
▶ 学生時代は何の役に立つのかわからず数学に対する興味を失ってしまったが、社会に出てからその必要性を再認識している方・・・など

受講料(消費税込み)

お好きな組み合わせで受講日数をお選びいただけます。

区 分全日程1日受講
  A 一般59,000円19,000円
  B KISTEC パートナー団体会員
  C 神奈川県内中小企業
47,200円19,000円
  D C以外の神奈川県内企業
  E 神奈川県内在住の個人の方
53,100円19,000円

日程・カリキュラム内容

諸事情により開催を延期いたします。
ご覧いただきました皆様には誠に申し訳ございません。延期後の日程等は、確定次第、改めて当ページにてご案内申し上げます。

12/1(水)
時間 カリキュラム 講師
10:30-12:00 <大学数学の復習1> 微分積分の復習大学初年級の微分積分学で取り扱った内容から、数理モデルや差分法による数値解析で必要となるいくつかの事項の復習をします。微分方程式の性質と実際の現象の特徴との関係、フーリエ変換の理解、などを取り上げ、実際の問題に役に立っている例を示しながら、このあとの講義への準備とします。 水藤 寛 氏
13:30-15:00 <数理モデル1> 数理モデル初めの一歩身近に見ることができる非線形現象を理論的に解明する道具として使われる数理モデリングについて講義を行います。最初に数理モデリングの構成手法について解説します。ここでは、数理モデル構築法が確立している化学反応モデルについて講義します。最初に単純反応、複合反応、自己触媒反応等に関する数理モデリングを解説し、応用として酸化反応と還元反応が自発的に起こるBelousov-Zhabotinsky反応の数理モデリングを行います。この講義では物理学や化学の基本知識を前提としないように必要な知識は講義中に説明します。 長山 雅晴 氏
15:15-16:45 <差分法の理論1> 境界値問題の数理と差分法弦の釣り合いを記述する二点境界値問題を対象にして、微分方程式の基本概念である、グリーン関数、最大値原理、データの解への連続依存性などについて解説します。その後、二点境界値問題の差分法による近似解法を導入し、その性質を解説します。初歩的な微分積分学と線形代数学の知識を使います。1限で簡単な解説がありますが、その数学理論を丁寧に考察することで、より理解がすすみます。 齊藤 宣一 氏

12/2(木)
10:30-12:00 <数理モデル2> 数理モデルを作ってみよう基本的なBelousov-Zhabotinsky反応の数理モデルに対して、実験から得られたデータを基盤として数理モデルを縮約する手法について解説します。数理モデルを数学として取り扱うために必要な無次元化という手続きも解説します。そして,パターン形成の理解に必須である拡散現象のモデリングを解説します。最後に、応用として燃焼合成反応の数理モデリングを行います。必要な数値計算法についても合わせて説明したいと思います。 長山 雅晴 氏
13:30-15:00 <数理モデル3> 生態学における数理モデル生態学の分野で取り扱われている個体群密度動態の基盤となる数理モデリングについて解説します。この講義では化学反応モデリングと同じアナロジーで個体群密度動態モデルが構築できることを説明します。その数理モデルから競争系モデルを構成します。そして感染症の決定論モデルとして有名なSIRモデルを紹介したいと思います。最後に身近な非線形現象の1つとしてロウソク振動子の同期現象に対する数理モデリングを行います。 長山 雅晴 氏
15:15-16:45 <大学数学の復習2> 線形代数の復習大学初年級の線形代数学で取り扱った内容から、数理モデルや差分法による数値解析で必要となるいくつかの事項の復習をします。座標変換、行列式、対称行列と反対称行列への分解、直交化、固有値固有ベクトルなどを取り上げ、実際の問題に役に立っている例を示しながら、このあとの講義への準備とします。 水藤 寛 氏
12/8(水)
10:30-12:00 <支配方程式のベイズ推定1> 線形回帰と基礎となる数理常微分方程式や偏微分方程式で記述される数理モデルを、データから推定する手法について講義を行います。まず、線形回帰や最小二乗法を復習し、その数理的な構造を理解することから始めます。そこから教師ありの機械学習が線形回帰の延長線上にあることを解説します。次に、損失関数と正則化について解説し、過学習を避けて「よい」推定を行うには何が重要であるのかについて説明します。 義永 那津人 氏
13:30-15:00  <差分法の理論2>熱方程式の数理と差分法針金の熱伝導現象を記述する熱方程式について、その数理、すなわち、フーリエの変数分離法、最大値原理、解の平滑化性などを、概説します。その後、熱伝導方程式の差分近似を導入します。いろいろな解法(陽的、陰的)がありますが、最初に解説する熱方程式の数理に基づいて、様々な視点から、各々の解法の長所と短所を検討します。とくに、安定性の意味を明確にします。 齊藤 宣一 氏
15:15-16:45 <差分法の理論3>安定性と収束性引き続き、熱方程式の差分法について、理論的な考察をします。2限の講義で解説する安定性の概念に基づいて、今度は、収束性の証明や収束の速さの評価を行います。その際に、安定性や適合性という性質が、本質的に重要な役割を果たすことを解説します。引き続き、初歩的な微分積分学と線形代数学の知識のみを使いますが、関数解析への入門となることを意識して行います。(関数解析は、より複雑な問題の数値解法を考察する上で、重要な分野です。) 齊藤 宣一 氏
12/9(木)
10:30-12:00 <支配方程式のベイズ推定2> 統計的推論とベイズ推定ベイズ推定と呼ばれる、推定値を確率的に取り扱う手法について解説します。ベイズ推定で重要な役割を果たす、尤度、事前分布、そして事後分布について説明し、ベイズの定理について解説します。そこから、1回目の講義と同じ問題を統計的推論の立場で見直し、損失関数や正則化がベイズ推定の立場でどのように理解されるのかを解説し、次に、推定の不確定性について簡単な例題を使って説明します。 義永 那津人 氏
13:30-15:00 <支配方程式のベイズ推定3> 微分方程式の推定これまで学習した内容を使って、微分方程式で記述される数理モデルがデータから推定できることを説明します。回帰の手法を用いて数理モデルのパラメーターを推定できることを解説し、正則化をうまく用いることで数理モデルそのものを推定できることを説明します。次にベイズ推定を用いて推定の不確定性とモデル選択について議論します。微分方程式で記述されるいくつかの数理モデルを紹介し、それらがデータから推定できることを見ていきます。 義永 那津人 氏
15:15-16:45 <数値シミュレーションの応用>他分野との連携現代社会や産業界の諸問題は、ある研究分野が単独で解決できるような単純なものではなくなっています。しかし分野が異なれば考え方も用語も習慣も異なり、その協働にあたっては実際には多くの困難に直面します。ここでは数学・数理科学と諸分野・産業界の連携活動を紹介し、今回の講師が関わっている数理科学と臨床医学の協働例についても紹介します。このような例を通して、数学・数理科学が社会に提供できるものは何かを考えたいと思います。 水藤 寛 氏

カリキュラム編成者からのメッセージ

現代の科学技術は、その多くが陰に陽に数学に依拠しています。日常生活でそれを意識することはほとんどないとしても 、何かを作ろう、改良しようという立場にある人にとって、数学とのつきあいは避けて通ることのできないものです。
数学との「つきあい」の歴史も人さまざまです。社会に出てから日々の業務で様々な問題に直面し、「数学をもっとやっていたらよかったなぁ」と思ったりもしている方々を思い浮かべつつ、本講座は5年前から始まり、参加して下さった皆様からのフィードバックを元に内容を更新してきました。
今年度は、これまで行ってきた物理・化学・社会現象を数理モデル化することとそこに現れる微分方程式の解を数値的に構成するための差分法の理論に加えて、新たにベイズ推定を用いた方法論の入門を加えることとしました。最初の方では、大学初年級での微分積分・線形代数の復習も設定しています。
 数学の特徴は、仮定や前提をおろそかにせずにきっちり考えることです。また、数値的に解くことに伴って混入してくる「誤差」もその振る舞いを含めて厳密に考えて見積もります。そのような内容を限られた時間で扱うため、題材は比較的シンプルなものを選びました。しかしそこに含まれている数学は、もっと大規模な問
題を扱うときにも通用する普遍的なものです。
今年度は、昨年度に引き続いてオンラインでの実施としました。オンラインならではの良さを生かし、比較的少人数の講座としてわからないことも質問しやすい雰囲気を作りたいと思います。「もう一度数学がやりたい!」 という方々とお会いできるのを楽しみにしています。

水藤 寛 (東北大学 材料科学高等研究所 数学連携グループ 教授)

主催
地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)

共催
東北大学 研究推進・支援機構 知の創出センター(Tohoku Forum for Creativity)

後援・協賛(一部申請中)
国立研究開発法人科学技術振興機構  (一社)日本数学会  (一社)日本応用数理学会  (公社)応用物理学会  (一社)日本機械学会  (一社)日本鉄鋼協会 (公社)精密工学会  (一社)日本複合材料学会  (一社)日本鋼構造協会  (公社)日本材料学会  (一社)日本原子力学会  (公社)土木学会 (一社)日本シミュレーション学会  (一社)日本流体力学会  (一社)日本計算工学会  (公社)化学工学会  (一社)電気学会  (一社)日本ロボット学会 (公社)日本医学放射線学会  (公社)高分子学会  (公社)地盤工学会  (特非)非線形CAE協会  (一社)日本燃焼学会  (公社)日本伝熱学会 (一社)画像電子学会  (一社)可視化情報学会  (公社)計測自動制御学会  (公社)人工知能学会  (特非)日本バイオインフォマティクス学会 (一社)日本画像学会  (一社)化学とマイクロ・ナノシステム学会 川崎商工会議所  ㈱ケイエスピー <順不同>

人材育成部 教育研修課 教育研修グループ
TEL:044-819-2033
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